このレビューはネタバレを含みます
フィルマークスにカニエのドキュメンタリー3部作「jeen-yuhs」のレビューが書き込めなかったんでここに記載
【Jeen-Yahs エピソード1】
すごいドキュメンタリーだ。下手な映画よりも映画。スーパースターの下積み時代からスターになるまでのストーリーを残した貴重な映像群だこれは。なかなか見れるものではないからめちゃくちゃ面白かった。
カニエはJAY-ZのIZZOからトントン拍子で出世したと思ってたから、彼の苦労してた下積み時代を知れたのは良かった。
今でこそシカゴはヒップホップ的には名の知れた地域になったけど、当時は全然だったとは知らなかった。それにトラックメイカーがラップするのも今は当たり前だったりするけど、当時はこんなに風当たり強かったんだ…。
決して恵まれたフッドでもなく、やろうとする事に風当たりが強かったにも関わらず、自分のやりたいことを叶えようとするカニエの姿にはかなり勇気付けられた。
自分の事を信じ続ける事って大事なんだなと感じた。
そんなカニエを育てた、かの有名なドンダママを初めて映像で見れたのもかなり嬉しかった。
本当に愛に溢れた人だし、ママが死んでカニエがおかしくなっちゃったのも理解できる。甘やかしてるとも言えなくはないが、息子の事を誰よりも信じてて素敵なお母さんだった。
「あなたは堅実だけど自信家で、ちょっと傲慢に見える時がある。でも忘れちゃダメ、巨人は鏡に自分を映せない」
「スターになる人は自信がなきゃいけない、『大した者じゃないけどありがとう』なんてダメよ。自分を卑下しないで、あなたの自意識への態度は完璧よ。でも忘れないで、地に足をつけながら舞い上がるの。だから巨人の話をしたのよ。巨人の姿は他人には見える」
とは心に残ったドンダママの言葉。
忘れないように記録。
あと、カニエが車の中で語ってた言葉も記録。
「この1年間頑張ってきてよかった。神様が門を開いてくれたよ。どんどん売り込んだし機会にも恵まれて、ずっと走ってた。金はなかったけどね。リル・キムとの作業中によそから呼び出されて、タクシー代がなく20ブロック走ったことも。ビートを作るチャンスを逃したくなかったんだ。ハングリーだったからね」
「『うまくやった』とか言う連中もいるが、まだ全然できてない。アメリカンドリームの入り口に立っただけ、俺には野望があるし夢はデカイんだ」
「ジェイ・Zはアイコンだし超大物、彼の下でもビッグになれる。他人の下につくのを嫌がるスターは多いが、このチャンスを生かしたい。いろんな人に会えるから目を向けてもらえるかも」
ブループリントでカニエとジェイZはすぐにマイメンになったのかと思ってたけど、やっぱりジェイZは圧倒的スーパースターで、その時のカニエは大勢の中の一人でしかなかったんだな。
ロカフェラのパーティでのジェイZとカニエの距離感がすごく印象的だった。その後コラボアルバムを出すとは思えないくらいの、挨拶だけの関係。
そのほかヘッズだとブチ上がる人達がたくさん出てるのも嬉しかったし、カニエのファースト「ザ・カレッジドロップアウト」をドンダママが提案しているクソ貴重な映像も見れて大満足だった。
【Jeen-Yahs エピソード2】
ロッカフェラと契約後、事故、ソロアルバムのリリース、グラミー受賞までのエピソード。
ロッカフェラと契約後も事故などで思うようにアルバムリリースが上手くいかなかったこと、その境遇でも決して諦める事なく進み続け、結果を残したカニエに勇気づけられた。
当時のヒップホップって本当にハードなストリート系しかなかったけど、エピソード1でも誰かが話してたがカニエはストリートとハイファッションの間をつなぐ存在だよなぁ。
ヒップホップだけどすごく上品でアートな空気感があるから当時の僕もハマったんだと思う。
カニエは不良以外のあらゆる層へヒップホップの門を開いた人だと思うし、カニエのMVや音楽きっかけで僕も美大を目指した。本当にクリエイティブで新しいアーティストなんだよなぁ。
また、前にも記録したが、マジで貴重な映像の数々に興奮しっぱなしの90分だった。
個人的にはカニエとファレルの絡みとジェイZのレコーディング風景は最高だった。
やっぱり映像でもジェイZはキングでマジでかっこいい。
マフィアのボスのような圧倒的貫禄があるし、レコーディングでカニエに指示する姿が忘れられないほどカッコよかったな。
あとファレルがカニエのラップとスルーザワイヤーを聴いてヤバすぎて部屋から飛び出していくとこ最高だった。
その後のファレルの言葉がかなり良かったので下記に記録。
「大物だ。売れてからもそのまま進め。ハングリーなままで。ハングリー精神は、自分の意志で抑える時もあっていい。両方の状態を自由に行き来できて、飢えを力に変えられるか?ならやっていける。俺は才能があるやつも、才能のせいでうぬぼれそうなやつも分かる。お前はそうじゃないが、自分を疑う気持ちは忘れるな。ごく稀だが、自己満足に陥る人もいる。自分の才能を客観視できるやつは、本当に才能がある」
また、カニエのグラミースピーチも良かったので記録
「事故に遭って、人生には死以外に確実なものはないと知った。勝負を賭けるチャンスがあれば、全力で手を伸ばすべきだ。多くの人はそこで出遅れる。俺は手を伸ばしてチャンスをものにした」
【Jeen-Yahs エピソード3】
僕がリアルタイムで追い始めた頃から現在までのカニエが見れた。
悲しいことに僕の大好きなカニエの「グラデュエーション」や「My beautiful dark twisted fantasy」、「Yeezus」あたりの映像はあまり無く、かなり飛んでライフオブパブロあたりから再びカニエにクーディが密着する映像が見れる。
また、カニエにかなり大きな影響を与えたであろうドンダママ死去あたりの映像は豊富で、知識としてしか知らなかったから映像を見れて良かった。
ドンダママは本当に最後までカニエに対しても世の中に対しても愛に溢れる素晴らしい人だったな。
ドンダママが居なくなってなかったらカニエも今よりは精神も安定していたんじゃないかと思う。ドンダママが死んじゃった辺りからカニエおかしくなり始めたから。
あとエピソード1、2では関係が近かったカニエとクーディが、カニエの成功によって段々距離が生まれてきてしまうのも悲しかった。
その後再びクーディはカニエの密着に入るけど、以前の2人の関係性とは少しずつ違ってきてしまったし。
でもカニエがどんな奇行を行おうと、クーディがドキュメンタリーの最後までカニエのことを想っていたのが印象的だったし、
メディアからの一方向の姿ではなく、クーディを通して見れる、そばに居るからこその彼の姿を見れてよかった。
カニエの全てにはまったく賛同できないがどんな人物もカニエも1人の人間である事を再確認できる。
今もまたカニエやばいことになってるけど、変わらず密着を続けてこの後のカニエも見たい。
パート1〜3まで、カニエファンだからだけど全く飽きることなく貴重な映像の数々を見れて幸せだった。ネトフリ入らないと見れないからブルーレイ発売してくれー!!
以下、カニエウェスト基金でのカニエのスピーチが良かったので記録
「『まずは信じなさい』と母に言われてきた。だから自分はできると信じ、しっかりと腹をくくる。『自信過剰』が悪いことだと考えるのは違うと思う。自信の『持ちすぎ』はない。過剰でいいよ、皆がもっと自信を持つべきだ。だけどうつむいて小さくなりがちな人は多い。いい曲を作って『最高だ』と言われても、『本当にそうかな?』。俺は褒められると『いいアルバムだろ?趣味が合うよな』。俺はネガティブなパワーを向けられても跳ね返す。自信ある黒人という新境地を拓く。声を潜めるのは奴隷のメンタリティだ、『静かに、、、静かにしなきゃ』。俺は自分が最高だと感じてる。皆も『自分は最高』と感じてくれ」