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パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女のcinemageekのレビュー・感想・評価

3.8
パーフェクト・ドライバー 成功確率100%の女

監督/パク・デミン
 ファン・ジョンミン主演のミステリー「影の殺人」(09)

出演
チャン・ウナ役/パク・ソダム

ヤクザのボスだけど警官
チョ・ギョンピル役/ソン・セビョク

特送の社長
ペク・カンチョル役/キム・ウィソン

荷物の子ども
キム・ソウォン役/チョン・ヒュンジュン


国家情報院職員
ハン・ミヨン役/ヨム・ヘラン




「成功確率100%」「私は絶対失敗しない」という、
どこかの医療ドラマを思い起こさせるコピーで、日本での話題の出し方を模索したのが感じられる

そして予告の狭い住宅地を走り抜けるクルマや列車の前をギリギリですり抜ける予告で一気に興味を高めてくれた映画

しかも今度のブツは泣き虫の男の子 という返品不可能な状態という設定

「トランスポーター」「ベイビー・ドライバー」といった既に知られている映画のテイスト感満載で、女性がドライバーというのは「バンブルビー」感

そこに「グロリア(80)」のように、うっとうしかった子どもへの情がうつる天才ドライバーが主人公で女性という設定。
その主演にパク・ソダムを持ってきたという歯車がみごとにハマっている。

これらの事も含めて「既存の映画には負けないぞ!」という気合を十分に感じることができる。


天才的なドライブセンスを持つウナ(パク・ソダム)。表向きは廃車処理業を営むペッカン産業で課長として勤務しているが、裏ではどんな荷物も確実に送り先に届ける特送のドライバーとして活躍中。

今回の仕事も見事なドライビングテクニックで、追いかけるクルマを巻いてミッションを完了する。

そんなペッカン産業に新たな依頼がはいる。
それは元プロ野球選手で賭博ブローカーの男キムだった。
子どもと2人で海外逃亡するための移送を依頼してくる。

その賭博ブローカーの元締めは警官のチョ(ソン・セビョク)。300億ウェンの金が入った貸金庫がキムに盗まれたと知りキムをおいつめる。追い詰めらたキムは、息子のソウォンを特送ドライバー・ウナに託す。

その場を脱出したウナだが、警官のチョは警察組織を使って更に追い詰める。そこに国家情報院が子ども誘拐の疑惑報道があったウナを拘束しようと動き出す


パク・ソダムといえば、知られるように「パラサイト」で美術家庭教師役で一躍知られる。
今回は彼女の初主演映画
ということで、彼女の経歴的にも映画的にも相当力を入れて造ったように感じられる。

パク・ソダム演じるウナのクールなアクションとときおり見せる女性らしい可愛らしさ。そのギャップもあってファンになる人は増えるだろう。

めちゃくちゃ美人…でもない
明らかな整形系の顔でもない
ナチュラルでクールな雰囲気なのに、可愛らしさが見えるという不思議な女優


カーチェイスは高速でぶっ飛ばしてガンガンテクニックを見せる…という一辺倒にならないように、狭い住宅地をギリギリにすり抜けたり、ターンストップしてやり過ごす。エンジンを切ってソロリソロリと相手を煙に巻くといった緩急つけたオープニングアクションが印象的。


さらに使用するクルマを古い車にすることで、マニュアルミッションの演出を加えるというのもニヤリとするところかもしれない。




クライマックスはカーアクションよりも実アクション比率が圧倒的に高まるところは「トランスポーター」系ともいえる
とはいえ、ウナ(パク・ソダム)が無敵の戦士系ではなく、ギリギリのところで切り抜けるところが、観ていてハラハラ感満載になる演出なのだが、やっぱりタイトルもふくめて、ドライビング的決着で見せてほしかった気もする。

子役・チョン・ヒュンジュンの
うっとうしい感満載の演技のうまさもあって感じられる

悪役警官のチョ(ソン・セビョク)の
いやらしい雰囲気もよかった
スーツの色やら着こなしやらは「レオン」のスタンスフィールド(ゲイリー・オールドマン)っぽさを感じた。「レオン」でもスタンスフィールドは直接手をくださず、部下に任せていたところなどは似ているかもしれない。
悪役のいやらしさは負けず劣らずだが、ちょっと小粒感もあったのが少し残念なところか?


物語そのものは王道といえば王道
スタンダードな展開でラスト前にとあるアイテムが沈下していくシーンの見せ方も「伏線」にもならないくらい堂々と見せて、見る側に安心感を与える演出。そこにいたるまでのネタでも、投げっぱなしジャーマンと言われてもしかたないくらいに投げっぱなし

悪役警官のチョ(ソン・セビョク)の
いやらしい雰囲気もよかった
スーツの色やら着こなしやらは「レオン」のスタンスフィールド(ゲイリー・オールドマン)っぽさを感じた。「レオン」でもスタンスフィールドは直接手をくださず、部下に任せていたところなどは似ているかもしれない。
悪役のいやらしさは負けず劣らずだが、ちょっと小粒感もあったのが少し残念なところか?



それでも最後までスクリーンに惹きつけるだけの魅力満載の1本に仕上がっている。


予告編で見どころがギュギュッと詰まっている
タイトルが本国や英語圏の「スペシャルデリバリー」とは違っているが、これはそのままでも良かったような気がする


いずれにしても、パク・ソダムの魅力たっぷり
続編はほぼ間違いない!と言ってもいいほどの面白さが満ちた作品です。
ぜひ大きなスクリーンで御覧ください。
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