ホワイトストーン

星の子のホワイトストーンのレビュー・感想・評価

星の子(2020年製作の映画)
3.8
新興宗教団体の信者に育てられた娘の視点から映し出される割りとシビアなテーマを掲げた作品。
そんな主人公を演じるのは芦田愛菜ちゃん。マルモのおきてなどで国民的な人気を獲得した彼女ももう16歳。子役から知ってるので、なぜか大きくなったなぁと自分も親のような目線で感慨深げに見てしまった。不思議な感覚だ。
やはり彼女はこれまでも、そしてこれからも演技力で見る者を引き込ませる、素晴らしい女優さんだなと思わせてくれる凄まじい力を持っている。この作品は女優・芦田愛菜の第2章となる作品だろう。
人を信じるということは簡単なようでとても難しい。様々な環境で色々な人間と出会いそれにもまれながら人は生きている。例えば、嘘なのか本当なのかわからない噂話を真に受け、さらにその噂話は加速されいつしか本当のようになっていく。悲しいけれど、それが事実だ。でも、本当に心の底から信じる人、信じたい人がいればそれが心の拠り所になる。まだまだ人を信じたいと思うようになる。
僕も親元から離れ、2年ぐらい一人暮らしの経験がある。そこで出会った人々も、今まで僕の人生で出会ったことのなかった人もいた。信じてみようと思っていた人も実は自分の知らない所で、自分の悪口を言っていたりする。人は自分の知らない側面を知ってしまうと、それだけで人を信じられなくなる。人を信じるということはそれほど難しいし、無意味だとも思える。でも、それが奥深いとも言える。まだ人を信じてみたいと思うようになる。やはり人は人で支えられてるからだ。
この物語の主人公も、沢山の愛で2人の親(原田知世・永瀬正敏)に育てられた。主人公は生まれつき体が弱く、どうすればいいのか分からなくなり、子供を守る一心でたどり着いた先が新興宗教団体だった。ただそれだけ。親はただ子供を守りたいだけだった。主人公はそれを分かってるからこそ、2人をただただ信じているし、大好きなんだろう。
信じる人。信じたい人。信じようとしたけれど信じられなくなった人。この物語は色々な価値観、色々な人々の思いが交錯している。ラストのシーン。あのラストのシーンは何を意味するのだろう。あれは正直ハッピーエンドとは言い難い。親と子供の見えている世界は多分違うのだろう。見えている世界が違っているとしても最終的には同じ出口であってほしいなぁ。