菊

星の子の菊のレビュー・感想・評価

星の子(2020年製作の映画)
3.1
信仰というのは、自分を客観視してもなお、信じるのをやめられない事物に宿るのかもしれない。ちひろの両親が熱心な教徒であるように、ちひろ自身もまた、両親を信じずにはいられないのだろう。

新興宗教や二世信者というセンシティブな対象を取り上げてはいるが、それ自体が主題となっているわけではない。日常生活はおろか信者が集うシーンさえも、会社の慰安旅行のごとく和やか。いかにもカルトらしい画を期待する人には物足りないかもしれないが、現代日本における宗教の有り様を如実に描写している点においては傑出していると感じた。
菊