イエローオーシャン

星の子のイエローオーシャンのレビュー・感想・評価

星の子(2020年製作の映画)
4.1
大きな出来事がある物語ではないけれど、確かに心に残る物語。

未熟児として生まれ体が弱かった自分を救うために両親は怪しい宗教にのめり込んでしまう。宇宙の力を宿る水と称された水を教団から高い値段で買い込むちひろの両親。

その水のおかげなのかちひろの身体は丈夫になり中学3年生になるが、両親は宗教を信じ続け家は貧しくなり、姉は家を出て行ってしまう。

この作品の"あやしい宗教"は怖さはあるものの人に害を与えている感じが一切ないところが、逆に静かな恐ろしさを感じさせ演出が上手だなと思う。
回想シーンと現在で明らかに家賃の安い家に変わったちひろの自宅や、料理をしなくなり出来合いのもので済ますようになった夕食、時折ちひろが耳にする宗教団体の悪い噂、短いシーンだが印象に残るシーンがとても多かった。

両親がちひろに愛情を注いでいるからこそ、両親を見捨てることができないちひろがとても苦しそうで、芦田愛菜の演技も素晴らしかった。