よしおか

星の子のよしおかのネタバレレビュー・内容・結末

星の子(2020年製作の映画)
1.8

このレビューはネタバレを含みます

鑑賞した理由は、先日観た「こちらあみ子」という映画がとても良くて、それを監督した森井監督は、本作の大森監督の助監督として、この作品にも参加していたらしい事と、どちらも同じ小説家 今村夏子の本を原作としているから。

大森監督は苦手な印象で、あまり観た事が無かったけど、やはり自分には合わなかった。

「流れ星が見えた。」と言っていたのは両親だけで、別に見たくもない娘は、一緒の方向を見て、3人で一緒に見たいという父の理想に付き合っている。

娘が「見えた!」と言ったのは、寒いから帰りたいし、3人で一緒に見ることに意味を見出せなかったからだろう。

自分が中学生くらいの頃、家族で喧嘩した時は「別に楽しくもないのに、家族で一緒に出掛けて何の意味があるの?」と思っていた事を思い出した。

「苦っ!」と言っていた珈琲を飲めるようになった娘だが、未だにあの水は飲んでいる。

それは多分、自分が、その水のおかげで救われたのと同時に、自分のせいで両親が宗教にハマってしまったという責任感からの行動なのだろう。

内容は興味深いので、原作は読んでみたい。

ただ少し飽きてしまっていた。

少し飽きたから、途中で冷房ガンガンの部屋でホットコーヒーを淹れて飲んだ為、まだ月曜日なのに眠れなくなっている。

飽きてしまったのは、カメラのカットが多くて、好みじゃないのもあるかもしれないが、なにより会話のテンポが早すぎる、そして一定過ぎるのだと思う。

会話に緩急がないと、ついセリフを話す人物ばかりを見てしまい、ドラマっぽく感じてしまうのかもしれない。

この会話、こんなに長く話す必要ある?と思ってしまう会話シーンがいくつもあって、正直半分流し見になってしまった。

少し飽きてしまった上に、「髪の毛の上からおでこを触っても、絶対体温わからないでしょ。」とか細かい部分も気になるシーンが多くて、惜しい気持ちになった。

印象的なシーンも少なく、ラストシーンも、少し弱かった。そこは、アニメで終わっても良かったと思う。
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以下気になった事など

⬜︎髪の長い女友達のキャラが面白かった。

「優しい?そうかな?じゃあ、付き合えば?」

すぐに「じゃあ、付き合えば?」という相手の事なんて考えてなさそうな言い回しと、付き合うか付き合わないか、でしか男を見てなさそうな適当な言い方と、すぐに切り返すその間がちょっと癖になってたから、もっと続けて欲しかった。

「じゃあ付き合えば?」って言いたい。

⬜︎頭の上にタオルを乗せて水を染み込ませるという絵が面白かったから、もっと広げてコメディっぽくもなると思っていたのに、思ったより広げてくれなくて残念だった。

普通、教団が集まった時に、全員でタオル乗せて、お辞儀したらタオルが落ちちゃうとか、ハゲてるおじさんはピンで固定できないとか、何か撮りたくならない?

⬜︎圧倒的に人の所作が描かれているシーンが少ないと思う。

服を着るとか、ごはんを食べるとか、なんでも良いけど、映画は、人が何かをする所作を撮る事で、その人やそのグループでの関係性を表現するものだと思ってる。

どんな寝起きで、起きてまず何をして、どんな道具でどんな朝食を食べるのか。

食卓では、誰が食器を運んで、誰が最初にいただきますと言い、誰が食器を片付けるのか。

そういった自分の好きな映画的な描写が少ないから飽きてしまったのだと思う。

「もっと焼きそば撮れば良いのに!」と思ったし、「そこはあの水で炊いたご飯でしょ!」とも思った。

⬜︎先生がノートに絵を描いている事を怒るシーン

ここが唐突で、「先生は絵を描いてたの知ってたの?」と思ったし、ただ先生がイライラしているようにも感じてしまうから、もっと冷たくて浅はかな先生だと表現して欲しかった。

例えば、あの夜に、先生が準備を手伝ってくれて、その流れで絵が上手な事も先生に褒められたりして、仲良くなる。そして送ってもらった後からは同じ流れで、次の日にノートの絵をあんなに怒られたら、泣き出すのも分かる。

でも、あの撮り方だと、ちょっと泣くには弱いと思ってしまった。

⬜︎あの唐突で一瞬のアニメの描写は何だったのか。
よしおか

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