Morohashi

星の子のMorohashiのレビュー・感想・評価

星の子(2020年製作の映画)
4.1
大きなテーマは宗教二世。少なくとも私はそう解釈した。

かつて肌荒れがひどくって、両親が藁にすがる思いで某宗教が作ってる水を頼ったところ、効果てきめん。それ以来両親は入信する。

他人から見ればきっと「いや、別の要因があったかもしれないじゃん?」と思うわけだが、ご両親にしてみればもうそれは奇跡でしかなく、他人の声には耳を貸さなくなる。

宗教というものは、古くはもっと政治的な狙いがあったかもしれないが、結果として精神的な部分で大きな支えになっている。その支えを他人が否定して壊してしまうのはよろしくない。
たとえば他人に危害を加えたり、他人を巻き込んで壺を買わせようとしてたら問題だけれど、何もしてこない分にはほっといていいと思う。
(実際私のまわりにも強烈な宗教に入っている人はいたけれど、勧誘してくることは一切なかったので今でもとてもいい関係でいる)

日本には信教の自由というものがあり、他人が「こんな宗教はダメだから辞めさせて救ってあげなくちゃ!」という思想は基本的にはNG。そもそも「こんな宗教はダメ」という考え自体が自分のモノサシなわけで。
でもこういう話は結構よくある。
あの先生にしても、おじさんにしても、ああいう行動に出たことはかなり問題がある。

しかし本質的にはプレゼントだって「相手のために」選ぶものであって、宗教を辞めさせることも「相手を思って」のこと。
モノが違うと言われればそれまでだけど、親切とお節介の線引はとてもむずかしいなと思った。


結果として、主人公のせいで両親が宗教にドはまりしたという経緯があるので、本人は責任を感じちゃうというのもわからなくはない。
とはいえ宗教はやっぱり自由意志で入るものであって、親が子に無理やり勧めるのはどうかと思う。


最後の方、ホテル(?)の中で母親を探すシーン。
あれは独立への布石かと思いきや、結局元に戻るんかーいとガッカリ。。
でも星空を見上げて、両親と同じものが一向に見えないっていうのはすごく練られたシーンだと思った。ちょっと長いけれど。。
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