千年女優

星の子の千年女優のレビュー・感想・評価

星の子(2020年製作の映画)
2.5
病弱な幼少期を過ごした中学三年生で、両親が自身が快方に向かうタイミングで入信した新興宗教にのめり込む林ちひろ。そのことで五歳年上の姉が家を出て叔父とも疎遠になるも両親の愛を受けて育った彼女が、憧れのエドワード・ファーロングに似た端正な担当教師に儀式中の両親の姿を見られたことで動揺する様を描いたドラマ映画です。

『むらさきスカートの女』で芥川賞を獲得して現代純文学を代表する作家になった今村夏子が朝日新聞出版から刊行した野間文芸新人賞受賞作を、小説原作作品を手掛けることも多い大森立嗣の監督で映画化した作品で、国民的子役の芦田愛菜が六年ぶりに主演を務めたことも話題を集めて第30回日本映画批評家大賞では作品賞を獲得しました。

同じ今村作『こちらあみ子』に通じる「社会」に翻弄される少女の物語ながらシーン毎に原作にない台詞をいちいち加える説明臭さが多元的だった原作の主題を陳腐な「毒親」に貶めています。それでも「子供の逞しさ」を素晴らしい存在感で表現する芦田愛菜は流石ですが、それすら安直な「アニメ」置き換えらの演出で損ねている一作です。
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