Yuri

星の子のYuriのネタバレレビュー・内容・結末

星の子(2020年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

胸に重石がつかえたような苦しいラストでした。観ている私でさえ、そうなのだから、多感な時期のちひろはどれだけの苦しさを呑み込んでいるのだろうかと、また苦しくなりました。愛しているから苦しい。ちひろの両親は自分たちが信じているものが不確かなものだと気付いていて、でも、繋ぎ止めたいから、積み上げてきた絆が壊れてしまうから信じ続けることを強いている。ちひろは、自分を構成しているものが矛盾だらけの不確かなものばかりの中で、愛だけは確かだとわかるのに、わかるからこそ苦しい。ただ、マイノティだというだけで無防備な状態で、あんなにも剥き出しの敵意を向けられなければならないのか。宇野祥平の役が、自分がマイノティになる場所に放り込まれても、自分の背後にいる圧倒的なマジョリティを信じているから、全く不安なく堂々としていて、印象的でした。日本はよろず神の国なのに、マイノリティな宗教に異質さを覚えてしまうのは、傲慢な善良さゆえなのだろうと集会を観て思いました。思考を止められる人と止められない人がいて、自分は大丈夫だと思っていても、止めるしかない状態に追い込まれてしまうのは怖いし、全てにおいて気を付けなければなと感じました(>_<) 黒木華の宗教家はヤバイ(笑)この役で本当に巧いなと思ってしまいました(^_^;) あと、なべちゃん(新音)の騙されるの無限ループ論は確かに!面白いと思いました。登場人物全員が、相手のことを思っての言動なのが(南先生以外)、苦しい。ちひろの人生は続いていくので、どのシーンで終わっても良い作品だけれど、綺麗に着地させていて、大森監督作の中でも分かりやすさと深さのバランスが良く、一番好きな作品かもです(*^^*)
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