馮美梅

星の子の馮美梅のレビュー・感想・評価

星の子(2020年製作の映画)
3.5
信じる者は救われる…とは言うけれど、思春期を迎えた主人公ちひろにとっていつも気持ちが揺らいでいる。

へぇ~最近の中学校とかって飲み物を机の上にああやっておいているんだぁ~とか、季節ごとに飲み物が(寒くなるとペットボトルから水筒に変わる人とかいたりして)変わる生徒もいたりして。そんな中でちひろはいつも同じ水を飲んでいるわけで。

子供を持つ親になったら、自分の子供が病気したりすれば、どんなことをしてでも治したいという気持ちになるだろう。そしてそれがどんだけインチキなものだったとしてもわずかな希望として受け入れようとするかもしれない。それがタイミング的に何か作用したように感じたらもう、疑う余地もないくらいのめり込んでしまうのだろう。

冷静に、客観的に見たら信じられないようなことも。
ちひろの両親も、その手に踊らされた人たちなんだろうな。
初めは普通のマンション?一戸建て?に住んでいたのに、ちひろが中学生になるとなんだか古くて小さい平屋造りの家に住んでいる。多分宗教でお金がかかって引越ししなくてはいけない状況になったんだろう。家族も長女がそんな家族を見捨て家を出てしまっているし…

でも、ちひろ自体は決して両親の宗教の事で学校でいじめにあっているわけでもなく、宗教関連の友人もいるし、そうじゃない幼馴染などもちゃんといて、お互い言いたいことが言えたりしてそこは少し見てる人間からすると救われた。ちひろ自身、それなりに青春を謳歌している。数学の先生に淡い恋心も抱いたりもするけれど…

両親に対しては愛情も感じてるけれど、宗教に対しては、迷う部分も出てきている。そんな時、大好きな先生に儀式をしている両親の姿を見られひどい言葉を聞かされショックを受けてしまうちひろ。

しかし、数学の先生役を一見爽やかに演じている岡田将生さんがほんとにゲスい感じなんだよね。ちひろに対する態度が。特に不審者と思っていた人間が実はちひろの両親を本人から聞かされた時の表情とかその後の教室でのシーンとか、ちひろに対しての風当たりの強さったら。

風当たりと言えば、ちひろの叔父さんもなんとか、家族を変な宗教を辞めさせたいとアレコレするんだけどねぇ~。ちひろも叔父さんの気持ちも凄く理解しているけれど、結局元をたどれば自分が原因だという思いもあるのか、自分が両親を信じてあげなければと、別にそこまで感じなくてもと思ってしまう。

芦田愛菜さん演じるちひろも全体的に静かな佇まいで、演じるのもとても大変だったように感じるけれど、静かな中に時々感情を抑えきれなくて爆発することもあるそんな心の揺れを見事に演じていました。

何かを信じることは決して悪いことではないけれど、それで家族が崩壊するのもなぁ~だし、ちひろにとっても姉が家を出てしまったこと、親を試すようなことをしたりとそれもまた寂しい思いがあって。

ちひろは本当に親の事を信じているのだろうか?
彼女が両親の愛に報いるために、信じようとしてるのだとしたらそれもまた悲しいなぁ。す
馮美梅

馮美梅