てる

ジョゼと虎と魚たちのてるのレビュー・感想・評価

ジョゼと虎と魚たち(2020年製作の映画)
4.0

実写映画とは全然内容が違っていた。
実写だとビターな終わり方をするけどもこちらはハッピーエンドで良かった。あちらを否定してるわけではないが、ビターエンドだとわかっていて観るのには勇気が必要なわけで、それを覆してくれて良かった。

全く内容が違っていたね。恒夫が好青年になっていたのには面食らった。そして、事故で留学を延期って設定もなかったよね?
なんだか、後輩との仲もギスギスしていたし、リアルな人間模様が印象的な作品だったが、こちらは一転してわかりやすい青春ムービーになっていた。それは悪い意味ではなくて、素直に面白かった。
ツンデレのジョゼが恒夫を通して世界を広げ、夢を諦めた恒夫にエールを送る。ジョゼの成長に涙した。

障害を抱えている身であれば、やはり前向きに生きていくのは大変だと感じる。ジョゼは普段強気だが、それは他者との交友が下手で、傷つくのを恐れるが故に作った防御壁なのだと思う。絵を書く仕事に就きたいという夢を持ちつつも叶うはずがないと、諦めていたのもやはり障害があったからだ。
だが、夢に満ち溢れた恒夫と出会い、考え方が次第に前向きに変わっていく。その変化に胸が熱くなる。
結局は障害があろうとなかろうと本人のやる気次第なのである。もちろん障害を抱えているというだけで不利ではあるし、越えなければならない壁は健常者よりも多いとは思う。だけど、やる気があれば、案外越えていけるものなのではないか。

恒夫に勇気をもらったジョゼは心の壁を乗り越え、今度は恒夫に勇気を与える側に立ったのだ。それがどんなに尊いことか。さらに、諦めていた作家という夢に挑戦すると言った彼女を見てると、そりゃもう泣けてしまうね。

今後の2人の行く末に希望があるのは間違いなくて、なんだか眩しい作品でした。
てる

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