カポERROR

ジョゼと虎と魚たちのカポERRORのレビュー・感想・評価

ジョゼと虎と魚たち(2020年製作の映画)
4.4
ありえない程美しく、ありえない程愛おしい作品。
自分の涙腺はこんなにも脆いものかと驚かされた一方、この作品に心を動かされた自分を少しだけ好きにもなった。

原作も実写版(日本版・韓国版)も全く触れたことがなく、初視聴がこのアニメ版だった。
序盤はジョゼの言動に終始イライラさせられたが、その分反動は凄まじく、その後ジョゼの愛くるしさの虜になった。
まんまと作者の思う壷である。
しかし物語は一筋縄では行かず、嫉妬、すれ違い、悲劇、絶望…と奈落の底、いや海の底まで落ちていく。
海底深く暗闇のただ中にいる管理人に、光を灯したのがジョゼの「にんぎょとかがやきのつばさ」だった。
そのまばゆいばかりに輝く絵本は、管理人の打ちひしがれた心だけでなく、私の心をも明るく明るく照らしてくれたのだ。
映画を観てこんなに心地よい気持ちになったのはいつ以来だろうか。

聞けば、同作実写版(日本版)のストーリーは大分趣きが異なり、ラストもハッピーエンドとはならないらしい。
私的にはこっち(アニメ版)を先に観られて心底良かったと思う。
少なくとも、私の知るジョゼと管理人には、桜舞う木漏れ日の下、最高の笑顔でエンドロールを迎えて欲しかったから。

素敵な物語を下さった才能豊かな作り手の皆様に、心から感謝を贈ります。
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