QTaka

アルムのQTakaのレビュー・感想・評価

アルム(2020年製作の映画)
3.5
小さな出会い、小さな出来事。
きっかけは、すぐそばに有る。
気付けば、それが力になる。
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ゆるーく流れる日々。
その中にある、幾つかの棘。
”パワーハラスメント”
”セクシャルハラスメント”
意味の無い事が、力関係となって顕在化する。
それが現代社会。
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幾つかの出会いが、日常を照らす光となる。
その光に照らし出されたのは…
音楽プロデューサーの姿は、ちょっと極端だけど、いわゆる男社会の典型。
それにうんざりするバンドメンバーの女性ギタリストと主人公。
今も古い男社会を引きずる輩は少なくない。
しかも、それぞれの小さなコミュニティーのヒエラルキーの中でそれなりに上位に居座っている。
そんな障害を端的に表している。
一方で、男だからといって簡単に許容する社会でも無い。
歪んだ集団では、特定の者が支配力を行使する。
これは手のつけようが無い。
ほとんどの者は、その構図に取り込まれ、一部の者はそこに居場所を見つけられない。
むしろ、そこに居るべきでは無いことに気付く。
暴力に裏付けされた社会構造が蔓延している。
そして、それを私たちは多くの場合、許容している。
変えなければいけないだろう。
そんなことには、とっくに気付いているのに。
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主人公の法学部の彼女が、試験で最期に記入した”arme”。
それは、彼女が見つけた目標や、そのための武器を意味するのか。
それって、この先に最強の法律家が生まれるって筋?
たとえば、R.B.キンズバーグみたいな…
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バンドメンバーのギタリスト役は、山本亜依さんでした。
キャストに名前無かったのが残念。
山本さんは、冒頭のライブシーンと、後半の飲み屋のシーンで登場します。
後半の飲み屋のシーンで、主人公に投げつけるセリフがこの映画のメッセージの一つだったと想います。
「なんであんな奴の言うこと聞かなければいけないんだろう…」
男社会へ投げつけられた、強烈な一言。
それが、彼女達の反発するエネルギーとなる。
ガンバレ女たち。
気付けよ男ども。
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追記
山本亜依さん、たった2ヶ所の出演でしたけど、きっちり存在していましたね。
あの飲み屋のシーンで、「この人誰?」ってことにならないのが不思議。
だって、冒頭の演奏シーン、ホンの数秒ですからね。
それで、後半の飲み屋のシーンに主人公や彼氏、そしてくせ者のプロデューサーと並んで座っているのが、冒頭の演奏シーンのメンバーだって、なかなか繋がらない可能性も有るでしょ。
そこをきっちり、「その人です」って主張してくる。
そして、先ほどの、女性を代表するようなセリフをビシッと決めてくる。
よかったわ〜。
というか、ショートフィルムって、こういう離れ業をどこかでこなすこと有るんですよね。
ここ、繋がらなければメッセージが半分になっちゃうかもしれないですからね。
そして、諏訪君。
はまるわ〜。
こういう微妙な役、諏訪君だな〜。
こっちも良かった。
イイところでイイ役者を使いましたねぇ〜。
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