QTaka

朝をこえて星をこえてのQTakaのレビュー・感想・評価

朝をこえて星をこえて(2017年製作の映画)
3.0
日常にちょっと花を添えて見ると…
そんな現実へのファンタジー。
子供に夢が必要なように、お年寄りにも応援が必要だ。
それは、やはり先立った奥さんの声なのか。
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野本監督の作品は、舞台やテーマに特徴が有る。
そのテーマに沿って、そこに有るべき姿と共に物語が語られる。
今回は、お年寄りの日常だった。
冒頭から入るナレーションが物語を紡ぐ。
老人への愛があふれる映画でした。
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そのままなら、何の変化もない、寂しい場面でしかない。
変化もないのに、なにか”寂しい”のが年寄りの生活なのかもしれない。
始まりに有る老人の自室は、布団と仏壇しかない。
寝て、起きて、仏壇に手を合わせるのが日課で、それ以外は無い。
そんな夫の姿を見兼ねて、妻が手を差し伸べてくれたのだろう。
妻の手作りの栞と同じような御下げの少女が現れる。
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安定の芋生悠さん。
芋生さんは、今年飛躍した女優さんだ。
『ソワレ』での演技は素晴らしかった。
本作でも、老人ホームでのシーンが有ったが、『ソワレ』では老人ホームが冒頭の舞台で重要な場面だった。
俳優は、様々な役柄を演じるのだけれども、必ずしもあるいはほとんどの場合それらの環境や役職を経験した事は無いだろう。
それらの職業や立場、状況をこうして演じながら、経験しながら学んで行くのだろうと思った。
それは、私たちが彼らの演技を通して様々な人生を経験するように、それよりも先に俳優の皆さんは多くを学び経験し、その上で表現されているのだろう。
一人の女優が、こうして様々な姿をスクリーンに見せてくれる事に気付くと、その存在自体が尊く思えてくる。
芋生悠さんが、これから演じて行く姿が楽しみだ。
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エンドロールに
野本家
って。
撮影は、監督の実家だったんでしょうか?
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