櫻イミト

カーニーの櫻イミトのレビュー・感想・評価

カーニー(1980年製作の映画)
4.0
見世物カーニバルが舞台の青春カルト映画。今年死去したザ・バンドの元リーダー、ロビー・ロバートソンによる初劇映画製作&助演。ヒロインは「タクシー・ドライバー」(1976)のジョディ・フォスター(当時17歳)。「カーニー」とは“カーニバルで働く人”の意味。

巡回式サイドショー「グレート・アメリカン・カーニバル」の芸人フランキー(ゲイリー・ビジー )と調整役パッチ(ロビー・ロバートソン)は親友コンビ。ある町でカーニバルに遊びに来た18歳のドナ(ジョディ・フォスター)はフランキーと仲良くなり、退屈な日々から抜け出そうと巡業に付いていくことに。。。

1980年当時のサイドショーの雰囲気を全編に渡って楽しめる。ロビー・ロバートソンが若い頃にカーニーをしていて、その思い入れから製作したとのこと。先日観た「ナイトメア・アリー」(2021)も同じ舞台設定だがあまりにも小奇麗すぎた。美術的には本作の本物感のほうが好み。

過激な見世物シーンは無いが、地元ヤクザとの上納金を巡るトラブルなど場末感をきっちり抑えている。場末を生きる二人の男にアイドル的なジョディ・フォスターを絡めて、社会の片隅の人間ドラマを渋めに描き出していた。そのタッチはザ・バンドの音楽のノリと共通するものが感じられた。個人的には斎藤耕一監督の作品と近い印象が残った。

日本では意外に知られていない良質カルト作。
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