森澤のしっぽ

Curve(原題)の森澤のしっぽのレビュー・感想・評価

Curve(原題)(2016年製作の映画)
5.0
「Curve」っていう10分程度の短編動画があるんですよ。
なんだコレ。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。

 若い女性がコンクリの壁 … まさに壁としか形容しようがないコンクリの途中にあるちょっとした坂状のところにひっかかってるの。
もうコレだけで単純に怖い。
 女性はその状況にいること以外は自由。拘束されてもいないし、雑音が流れて考えることを疎外する要素もない状況なの。
それでも彼女が置かれているのは、誰が見ても絶望しかなくて、その状況をどうにかしなければならないと迫られる。
 主人公の女性も見てるこっちも、色々なことが考えられるんだけど、その先に起こる事もだいたい想像がついちゃう。おおむねバッドエンド。

 動画の開始と同時にもったいつけずに、この場面を見せつけられる。で、一瞬で感情移入してしまう。その結果、自分のこれまでの人生経験(見る、聞く含め)から”その先”を想像してしまうのね。
この作りがホントにうまい。だって、その先はもう不安と恐怖しかないの。

 日本の昔話に「吉作落とし」というお話があって、似たような状況に陥るんだけど、こちらは最後に精神をおかしくして飛び降りちゃうんですよ。
「Curve」の主人公はハッピーエンドだといいなと思う。

でもね、この女性、どうなったらハッピーエンドだと思いますか?
この状況から脱出して生き残ること? すっぱり飛び降りてしまうこと? 
それすらも想像することしかできないってホント怖い。