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コントラ KONTORAのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

コントラ KONTORA(2019年製作の映画)
3.9
高評価がわかる。演技派の円井わんさん目当てで鑑賞したが、想像していた以上の余韻だった。 インドルーツの監督が描く特攻隊兵士の霊を鎮魂する作品。後ろ向きに歩く現代のホームレスという奇抜な設定がシュールでコミカルだが、戦争に駆り出された若者たちの悲しみと苦しみと痛みを受けた、平和への願いだった。

ラストシーンに「ディアハンター」のラストをふと思い出したけれど、日本とアメリカの違いは大きかった。まるで違った。どちらも反戦映画だけれど、その後が違う。大切なラスト。こんな描き方、素晴らしい。

なぜ円井わんさん演じる女子高生ソラが、亡くなった祖父の日記に取りつかれたのかは、親世代ではできなかったことをしようとしたからだと思う。親世代はできなかった。親世代は奪いあうゼロサムの世界。ソラの父と叔父との関係のように一つの土地を腕力で奪いあう。

戦争を描かず、現代の若者目線で描かれた反戦映画は初めてかもしれない。戦争に行き、尊い命を落とすのは若者だ。

円井わんさんの出演作を観るのは三作目、狂気も純心な思春期も演じられる、堂に入った演技が素晴らしい。もっと観てみたい。
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