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プラド美術館 驚異のコレクションのodyssのレビュー・感想・評価

3.5
【美術と美術館の歴史性】

スペインを代表する美術館とされるプラド美術館。
その収納作品や、成り立ちについて、ジェレミー・アイアンズの案内を初めとして、美術館員などが色々と解説をしてくれる映画。

絵画には、単に作品を眺めているだけでは分からない部分がある。
描いた人間がどういう社会に生きていたか、どういう事情でその絵画を描いたのか。
昔なら、貴族社会の中で生きていた画家は、王侯貴族から多額の報酬と引き換えに作品を依頼されることで食っていけた。
また、王侯貴族も単に自分の権威を保つためだけに画家を養っていたわけではなく、心底美術というものに惹かれる場合があった。

そういう事情が、この映画を見ているとよく分かります。
イタリアとスペインの深い関係や、それが西洋美術にとって重大な意味を持っていたことも。

外国旅行が大衆化して、日本人でもヨーロッパ各地の美術館めぐりを楽しんでいる人も少なからずいることでしょう。新型コロナウイルス感染問題でそうもいかなくなっている昨今ですが、こういう映画をその代用にするのもいいのではと思いました。
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