Joaco

プラド美術館 驚異のコレクションのJoacoのレビュー・感想・評価

3.3
4年前のスペイン旅行で、あまり前知識もなく訪れたプラド美術館。
圧倒的なコレクションと館内の美しさ&広さにノックアウトされるも、時間切れであまり堪能できなかったのが心残りだった。そんな消化不良感を解消すべく挑んだリベンジ鑑賞。

ベラスケス、ゴヤ、エル・グレコなど、著名なスペイン画家のコレクションはもちろん、王室メンバーのポートレートがこれでもか!というくらい多かった。考えてみれば、太陽の沈まない国と呼ばれ、コロンブスのスポンサーもした大帝国だったんだよねぇ。そりゃ国の威信をかけてでも、自画像祭りになるわなと納得。

プラド所蔵の作品はイタリアに比べると、本作でも紹介されてるとおり圧倒的にダークで陰影の強い作風が多かった。ルネッサンス時代の作品は生命を祝福するような明るいイメージである一方、プラド作品は底なしのシャドウ、あるいは深い人間の業を感じさせるというか。この違いが謎だったけど、これもスペイン独特の精神性であり、その一旦が作中にもでてくるフラメンコの情熱にリンクするような気がした。カトリック社会でもあり、激情ともいえる、キリストのパッションに近い感覚なのかもしれない。

「快楽の園」で知られるボッシュなど、現在のベルギーになるフランダース作家の作品があるのも不思議だったけど、鑑賞して当時はスペイン領だったことを知る。歴史は苦手だったけど、やっぱり知っておいたほうがいいなぁ、、とつくづく。「快楽の園」は時間の関係で現地でほんの5分くらいしか鑑賞できなかったけど、奇想天外な傑作なので機会があればぜひ一度、現物鑑賞することをおすすめ。ダリなどで知られるシュルレアリズムの原点とも言える作品だし。

個人的には美術館にまつわる歴史や背景が丁寧にテンポよく紹介されていて、全体像を把握する上でとてもためになったし、またじっくり訪問してみたくなった。
ナビゲーターのジェレミー・アイロンは好きな俳優でいい仕事してたけど、できればスペイン出身の人がよかったかな。
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