エイデン

ザ・グレイテスト・キングのエイデンのレビュー・感想・評価

ザ・グレイテスト・キング(2019年製作の映画)
-
紀元前753年、オールドラティウム
羊飼いをしていたロムルスとレムスの兄弟は、突如として発生したテヴェレ川の洪水に襲われてしまう
濁流に流され怪我を負いながらも生還した兄弟だったが、岸にたどり着いたところを何者かに捕らえられてしまうのだった
隣国アルバ・ロンガへと連れ去られた兄弟は奴隷として扱われ、過酷な労働に従事させられるのだった
その夜 他の奴隷と共に集められた兄弟は、そこで奴隷同士の殺し合いによる生贄の儀式を目の当たりにする
殺害された奴隷は“三女神”のため炎に配られる中、ロムルスとレムスは兄弟での殺し合いを強制されてしまう
しかし兄弟で助け合えという亡き母の言葉を思い出した兄弟は一計を案じ、儀式を取り仕切るウェスタ神官サトネイを人質に取ると、それに乗じて奴隷達は一斉に反乱を起こす
激しい戦いでロムルスは腹に剣を刺され負傷してしまい、兵士の1人を取り逃してしまうも、奴隷達は解放されるのだった
追っ手から逃れるため、兄弟と奴隷達は神聖な火を抱えるサトネイを連れて行くも、洪水による川の氾濫で思うように進めず、森を抜けることに決める
しかしその途中、とうとうロムルスは怪我の影響で倒れてしまう
逃げるのに足手まといになりかねないロムルスを見捨てるかという決断に意見は割れていく
更に仲間の1人が森で死体となって発見されたことで疑心暗鬼は強くなり、とうとうレムスはロムルスを殺すように命令されてしまう
しかしレムスは兄を守るために猛然と立ち向かい、彼らを率いていた男を決闘の末に殺害、その場の全員を屈服させる
レムスは一行の指導者となるが、次第に飢えや喉の渇きに追い詰められていく
そこでレムスは、サトネイに兄を守るように頼み込み、自身は1人で狩りに出かける
レムス不在の間 残された者達は、この事態は神以外触ってはならないとされているウェスタ神官のサトネイに触れロムルスが神に呪われたために起きていると決め付けるが、サトネイは約束通り彼を守り、やがてレムスも大きなシカを狩り帰還する
その血肉で飢えと乾きを癒した一行に、レムスは呪いなど無いことを説明し、王として皆を導くことを宣言する
レムスの言葉通り森を抜けた一行は、近くの集落の戦士達を倒し、土地や新たな民を獲得するのだった
一方 サトネイは兄弟のどちらかが強大な国を興す偉大な王となり、どちらかがそのために死ぬことを予言する
そのために兄弟は殺し合うと聞き、レムスは戦慄するが・・・



ローマ帝国建国の父ロムルスと、その弟レムスの伝説を描いた歴史ドラマ

軍神マルスと王族のシルウィアの息子として生まれ、狼に育てられたとされる伝説の兄弟の物語を神話的な要素を廃しながらリアルに描いた作品

全編を古ラテン語で演者が演じるなど、リアリティの追求が行われた、かなり硬派な作風
映像化作品では特に煌びやかなイメージの強いローマ帝国の興りを、泥臭く生々しい映像で描くのは新鮮ではある

そうした点からもこだわりや質は良さは感じるものの、全体的にこぢんまりとしたストーリーになってるのは気になる
伝承であればアルバ戦争や、神の意志に翻弄されて対立する兄弟の流れなど、映像映えしそうな展開はあるけど、史実らしさを追求したのか、あまりらしいシーンは無い

映像的スペクタクルよりも人間としてのロムルスとレムスを描いた作品のようにも見えるので、地味といえば地味
繊細な描写が多いと言えば多い作品なので、万人ウケする内容では無いけど、本国イタリアではかなり評価高い
題材の人気さもあるんだろうけど、ドラマチックな内容であることは確かなので、歴史ファンあたり観ましょう
エイデン

エイデン