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ハニーランド 永遠の谷のodyssのレビュー・感想・評価

ハニーランド 永遠の谷(2019年製作の映画)
2.5
北マケドニアの映画だそう。
北マケドニアと聞いて、ああ、あの国ね、と思える日本人はかなりの通。
私は最初「そんな国があったの?」と思ってしまった。
調べてみたら、ちゃんとある。
現在のギリシャの北、セルビアの南、ブルガリアの西。
もっとも国家として独立してからあまり時間がたっていないよう。
第二次大戦後はユーゴスラヴィアの一部だった地域。

それはさておき、その北マケドニアの荒涼たる風景が拡がる田舎で、自然養蜂をしている中年女性をドキュメンタリーとして映像化したのが、本作品。
現地の風景がそれなりに興味深い。
老いて盲いた母とふたり暮らしをしているヒロインの日常も。
自然養蜂とは、岩場などに自然に巣を作っているミツバチを利用して、定期的に巣の一部や蜜を人間がもらってくるというもの。自然のおこぼれを人間が使わせていただく、ということかな。

でもそこに子沢山のトルコ人一家が、キャンピングカーで引っ越してくる。
彼らは巣箱を使う普通の養蜂をやっている。
このハチと、自然養蜂のミツバチが・・・

何となく寓意的な映画ではある。
でも、自然養蜂だと、きわめて少数の人間しか蜜を利用できない。
人間が野生の動物や穀物や果実を利用していた時代から、やがて人工的な牧畜や農耕の時代に移っていったという流れを考えると、自然養蜂は所詮は滅び行く運命なのかな、とも思える。

あと、ヒロインの暮らしぶりは興味深いけど、これはあくまで特殊例だろうから、ふつうの北マケドニア人の暮らしぶりが知りたかった。
無い物ねだりで済みません。
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