KARIN

プロミシング・ヤング・ウーマンのKARINのレビュー・感想・評価

3.7
こんなに心えぐられる映画は久しぶりや…

残る感情は毒、えぐみ、やるせなさ。
だけど目を閉じると、虹色のウィッグ、かわいいマフィン、ポップなサマードレスが浮かんでくる。

何層にも何層にも重なったジャンルに、見ているこっちはいつどこで止まってくれるか分からない車に乗せられてるような気分になっちゃう。

一つのセリフ、展開が違っただけであらゆる方向から批判がやってきそうなこのテーマ。

女子代表が、悪い男たちを懲らしめる!みたいな大雑把な話でも、エンタメとして成り立っていたはず。そしたらそこで「こんな人現実にいるわけない」「男が全員悪いみたいじゃないか」とか「大袈裟だ、ぶっ飛びすぎ」と片付けられるのだけど。

しかし今作は、ウィットに富んだ会話やリアクション、返す言葉や選ぶ行動の数々に、「ほんとうにこの人たちが生きている」リアリティが感じられます。

丁寧に人物を掘り下げてくれているからこそ、この物語がキャシーという「ひとりの女性」に起きた話であり、ポップなフィクションであることがはっきりと見えてくる。彼女は世界の女性代表ではなく、ただ一人の親友を想い、選んで、行動しているのだ。

1人の人間が、1人のためにする復讐。
身体的には強くない。空手とかできる、アクション映画の女性キャラでもない。そこが自殺的というか、危うくて仕方がない、、!!

だからこそ浮き彫りになるリアルというか、こんなヤツ実在しない、作り話だ、だけど本当に誰かが、どこかで抱えてるかもしれない。現実ではこれよりやばいことだって起こるんだ…あなたはどうする?どう思った?という問いかけがしっかりと残される。
フィクションが真実を語る、、、みたいな感じがすごく伝わる作品でした。そうであってほしい。
さすがアカデミー賞脚本賞。改めて映画の力ってすごいなぁ。

はじめに雑誌で写真を見た時、キャリーってわからないくらい意外な役だなって思ったけれど、あの何を考えているのか分からない演技がすごかったし、美しかった!

エンドロールの入り方に鳥肌立ったけれど、壮大なAngel of the Morning が割と早めに終わってしまって、次のウェイウェーイ!って感じの曲に急に切り替わり、感情が置いてけぼりになってぽかーんと放心状態だった。同じ人いるかな笑
KARIN

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