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プロミシング・ヤング・ウーマンのmotoyAliveのレビュー・感想・評価

4.5
Promising Young Woman=前途有望な女性の未来を奪った人たちへの復讐を果たすスリラーダークコメディ。

《あらすじ》
ある事件をきっかけに医学部を中退し、コーヒーショップで働くキャシー(キャリー・マリガン)。ある事件には彼女の親友が関係しており、コーヒーショップに偶然訪れた医学部時代の元同級生ライアン(ボー・バーナム)との出会いをきっかけに親友の無念を晴らすべく彼女の復讐劇が始まる。

《感想》
脚本が素晴らしい。アカデミー脚本賞受賞も納得。復讐劇であることから終着地はある程度予想できるものの、それまでの過程は予想を裏切る展開が続くので最後の最後まで楽しめる。復讐劇のパートとラブコメパートが並走しながら話は進んでいくが、そこの絡め方も秀逸で、特に物語の緩急の付け方が上手く、ラブコメパートで、見ている側に安堵感を味合わせ安心しきったところで、復讐パートに入ると急に緊張感が張り詰め、突き落とされる。まさにジェットコースターに乗っているかのような感覚を味わえるのも見どころのひとつ。

素晴らしい脚本に加えて、主演のキャリー・マリガンの昼と夜での七変化と鬼気迫る演技も目が離せなく、序盤の復讐シーンは特にホラーを見ているかのような恐怖感を味わえた。

作品を通して、復讐劇というダークなムードが漂いつつも、それとは対象的に音楽やファッション、小物に至るまでがポップな演出がされていて、ついつい惹きつけられる。音楽のチョイスも絶妙で、パリス・ヒルトンの『Stars Are Blind』を歌って踊るシーンは心ウキウキさせる素敵なシーンだったり、ブリトニーの『Toxic』がバイオリンバージョンになることで、ここまで不穏な空気を作り出せるのかと感じ、とても印象に残った。10年前から20年前にヒットしたパリスやブリトニーという選曲が当時今のように女性に対してあまり考えられている時代ではなかった時で、その時の曲を使うというのも考えさせられるものがあった。

前情報なしに、予告編も見ずに本編を見たほうがより衝撃も受けられると思うので、散々色々書いた後ではあるが、情報入れずに見ることがおすすめ。
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