平成生まれの友人に「何か観たい映画ある?」と聞かれて即答した作品がこれ。というのも、フォロワーさん——中でも上級クラスの映画番長たちが軒並み高得点をつけていたから。なので、フォロワーさんのレビューは一切読まず(というかタイトルもロクに覚えず)、「プロミスなんたらガール」みたいなアバウトな題名を告げ、真っ白な状態で劇場に向かった。
むくつけき男どもの腰つきを舐め回す印象的なオープニングショット。クラブで踊る女性のセクシーな腰つきを見せるシークエンスは慣れっこだが、おっさんの下半身は初めてかも。滑稽なもんだな。てか滑稽に見せられることで、ああ、なるほどそういう映画なのねとわかる仕掛けなのがセンスいい。醜悪さを自在に使いこなすセンスに、こいつただものじゃないぞ!とね。
てっきり男のロクでもない下半身をきっかけとした連続猟奇殺人の話かと思ったら、そうではなかった。そういうよくあるエンタメではなく、もっとホリの深い陰影に富んだ作品だった。
こちらのありふれた予想をサラリと躱し、話の行き着く先を巧みに誘導されるたびに、新鮮な驚きポイントが加算されていった。
終盤には、こんな話誰ひとり幸せにならないやん!と胸糞な気分は増すばかりなのにおもしろが止まらない。
カサンドラの制裁がフェアなのがいい。特にあの弁護士のシーン。悔いてる人間には赦しを与えているのな。自分も小山田圭吾ほどではないが、属性としては加害者側にいた人間なので、反省とはどういうことなのか改めて考えさせられた。
新たに歩を進める生き方だってできたのに、そうしない(できない)カサンドラの覚悟が悲し過ぎる。てかそもそもあのクズどもがあんなことをしでかさなければ、ニーナもカサンドラの不幸もなかったんだけどね。
ライアンもライアンだわ。ジ・アメリカともいえそうな、誠実さを絵に描いたような顔してるくせに。外観は繕えても所詮クズはクズ。根っこは変わらない。反省がない過ちは一生ついて回るってことが妙にリアルで説得力があって、思わず姿勢を正したわ。
ところで皆さんはカサンドラがかわいこちゃんという設定に、えっ?とならなかった? 30歳?アラフォーにしか見えないんだけどと心の中でツッコミを入れなかった? まあ、そんなところでで意固地になっても仕方ないから、サッと受け入れたよ。きっと米国人にはかわいこちゃんなのだろうと。年相応にかわいいのは異論ない。