Fumi

プロミシング・ヤング・ウーマンのFumiのレビュー・感想・評価

4.2
再鑑賞。
劇場公開時以来。

改めて、エメラルドフェネルとこの作品に携わった全ての人に敬意を表したくなった。
この作品のすごいところは散々語られているだろうが、個人的に唸るのは三十歳で実家住みアルバイト、大学時代で止まった幼いファッションと、仕草のままの、年齢とずいぶんチグハグなキャリーマリガンから漂う取り返しのつかなさである。被害者の親友だけでなく、キャシーというかつて前途有望だった1人の女性のの大切な時間と人生を奪ったことに視覚的な罪の深さと絶望を感じると同時に、これが決して他人事とも思えない、決して思わせない脚本の凄さに感嘆する。

善悪を男と女などの二項対立にはせずに、こちら側への徹底的な創造力や判断力に任せる描きかたにしたことが、なによりよりも素晴らしいと思う。

以下補足とネタバレ






作品の感想は自由だし映画の良し悪しは置いておくとして、この種の作品の受け取り方の人によっての違いこそ(男女に限らず)に社会的な課題を感じた。それこそこの作品のすごいところだ。なにより、この作品のラストシーンは全くもってスカッとしないし爽快ではないと私は思う。むしろ悲しすぎる…だって死を持ってでしか正しく裁くことができなかった、というとてつもない絶望を描いたのだから。
ただ、この中の弁護士のように後からでも自分の過去の過ちを正そうとする人がいたことに一筋の光を見せてくれたと思った。私はそちらに希望を見出したいと感じた。
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