ひろゆき

プロミシング・ヤング・ウーマンのひろゆきのレビュー・感想・評価

3.3
銀幕短評(#617)

「プロミシング・ヤング・ウーマン」
2020年、アメリカ。1時間53分。

総合評価 66点。

女も男も平等だと考える人がいる。たがいに別の性を尊重しあえる人たちがいる。互いの弱きをおぎなうべきだと考える人がいる。そういう社会にもっていきたいですね。しかし牛歩ですよ いまは。牛歩すぎる。


(おまけ)

前回予告したテーマを早々に採り上げます。例の本を読むのは日延べしました。


「性差別について」

このテーマはかなり悩ましいですね。「82年生まれ、キム・ジヨン」69点 の回ですこし触れたのですが、うまく書けなくてストレスを感じたので、ここで再挑戦します。もうすこしはマシに書けるといいなあ。では、

ヒトは地球上で(とくに脳が)もっとも発達した生物です。とはいいながら、次代に自己の遺伝子を残すために雌雄の性別の仕組みを進化させたところは、他の生き物 たとえばメダカやバッタやツバメなどと異なるところはありません。軽はずみに行動すると、ロクでもないことを起こします。

性がふたつある場合、遺伝子の二重らせんのそれぞれを、雌雄それぞれの個体から遺伝させます。ヒトという種(しゅ)を存続、進化させるためには、遺伝子の組み合わせを複数種類 多くつくって環境変化に適した組み合わせを繁殖させることが効果的です。

ここでメス(雌)とオス(雄)との生物学的な違いを考えてみましょう。
・メスは卵(らん)を、卵巣からひとつ排出し、受精をまつ。排卵のタイミングは、月に一度程度とスパンがながい。哺乳動物であり 妊娠期間がながいヒトは、その妊娠期間(さらに授乳期間)を外敵から逃れるために、安全なひとつところに居住することが望まれる。受精から出産までのながい期間は他のオスと交わることができない。つまりその間、遺伝子の交配は休止されている。
・オスはいつでも、精子をメスの子宮に向けて排出(射精)することができる。じぶんに妊娠がないので、いつでも別のメスの個体をつぎつぎと妊娠させていくことが可能である。まるでサル山のボス猿のように。

このような特質をごくかんたんにまとめると こうなります。ここは皆さん意見のわかれるところで、わたしの考えは、表現は、下品で浅はかで片寄ったものかもしれません。が、順に対比させましょう。
メス: 受け入れる性、優秀なオスをまねき入れる性、産む性、子を守る性、とどまる性
オス: 追いまわす性、多くのメスを渡り歩く性、はらませる性、メスを守る性、狩る性

はなしは飛びますが、現代のヒトの女はおおく化粧をしますね。優秀な男を招き入れる(誘惑する)ための、生物的・文化的な戦略ではないでしょうか。その点男はじぶんが動き回ってこれと思う女を誘惑して性交にもち込む。ツラの皮も厚い。化粧などの飾り立ての必要性がすくないのかもしれません。

性犯罪(強姦)について

うえに書いた、追いまわす性、メスを渡り歩く(さらに露骨にいえば、タネをまく)性という、オスの特徴を考えると、望まない性交を相手に強いる行動をとる確率は、メスよりもオスのほうが格段に高いものとなります。そもそもメスがオスを強姦しようとしても、勃起していないオスの陰茎をメスの膣に挿入することは不可能です。それに比べると、オスがメスを強姦することは 性器の形状からしても物理的にはるかに容易です。

望まない性交、を強要する権利はもちろんだれにもありません。倫理的にも法的にも許されない。それ以前に、女性の個の尊厳を人格を心理を 踏みにじる行為だから禁忌とする必要があります。性遺伝子の刷り込みが影響して、刹那的な交接の欲望がオスに強いことも影響していると思いますが、文明社会の対等な男女の関係で、そのような 相手の人格を危険にさらす暴力的な行為をしてはいけないことは当然です。じぶんの欲望と理性とどちらを優先させるのか、そのこたえは自明です。

性差別について

性差別は歴史的に文化的に太古から受け継がれてきました。たとえば、日本でもっとも古い(ざっと1,300年前の)文献である「古事記」に、こうあります。日本列島を作るときに、はじめの二神が性交のあと、イザナミノミコト(女神)がリードを取ってうまくいかなかったところを、つぎの性交のあと、イザナギノミコト(男神)がリードしたところ、淡路島から順に本州までじょうずに創造できたというのです。これは女に対する男の優位性を意図的に物語る史料のひとつだと思います。

男の優位性を説明する材料としてはつぎのようなものが 歴史的に(つまり営々と受け継がれてきたと)考えられます。
・腕力、体力で男が勝ること。この映画のように。
・性交におけるリード(主導)に関して、上記の勃起システムの生理的な特徴から、男にゆだねられるケースが多いこと。男は性交を始める性、女は待つ性だということもできます。
・女には生理(月経)があり、定期的に経血を流すこと。職業や宗教や武道などの観点からこれを忌み、出血を穢(けが)れとみなす考え、風習があったこと。

社会的な差別について
とくに職業における差別。ここはね、メチャだいじなところなんですが、もうねむくなりましたよ。こんどしっかり考えて補筆します。

年齢差別について
ここも次回です。男より女で顕著ですね。

文化的な差別について
ここも、すみません。
たとえば、「雌伏と雄飛」などの言い回しによる女性蔑視。姦、嫐、嬲などの漢字の成り立ちと意味合い。

セクシャル ハラスメントについて
これについては「82年生まれ、キム・ジヨン」の回で そこそこ書きました。踏み込みがかなり足りないので、またいつかやり直します。


と、なんだかんだと やっぱり尻すぼみなんですが、今回はこれで勘弁してください。ご意見を ぜひ教えてください。とくに女性のかたの。

最後は、キム・ジヨン回の感想文から引用します。わたしとしては ここは動かせない持論なので。


「男尊女卑、というのは歴史的に もちいられてきたいやないい回しですが、男女の平等を声高にさけぶ前に、じっさいのところ 個と個の平等をもっと意識すべきではないのか。女がおんなを差別する、おとこが男を差別する。そういうことだっていくらでもあるでしょう。いずれにせよ狭量というほかはない。相手に敬意をもって接すること、たっとぶこと。それは男女差別の是正にもつながる。個の尊重は現代社会のマナーなのに、それがおざなりにされるのはなぜだろう?」


さて なぜでしょうか?


(ご参考)

おまけ「性欲について」を、映画「お姉ちゃん、弟といく」54点 の回に書いています。

本編のつづきとして、「男女差別について」を、次回「モロッコ、彼女たちの朝」70点 から書き起こしています。
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