平田一

プロミシング・ヤング・ウーマンの平田一のレビュー・感想・評価

5.0
“私も彼女も“前途有望”なはずだった―――”

第93回アカデミー賞において、作品賞を始めとする5部門にノミネート、脚本賞に輝いた復讐エンターテイメント。元医大生だったカフェで働く一人の女性が世の中のゲスな男たちに鉄槌を下してく。監督は「キリング・イヴ」など主にドラマで活躍し、本作で鮮烈なデビューを飾ったエメラルド・フェネル。「復讐の天使」として暗躍するキャシーには『シェイム』などの実力派女優キャリー・マリガン。

かつては前途有望な医大生だったキャシー。ところがとある事件を境に彼女は大学をやめて、カフェで働く三十代間近の女性となっていた。しかし彼女は夜になると「もう一つの顔」を見せ……。彼女が企てる制裁の行き着く先には一体何が―――。

結論から言ってしまうと、

かつてなかった「復讐譚」。
久しぶりに遭遇したオールタイムベスト級!

酔ったキャシーを自宅に誘って、注いだグラスの酒の量から、男性がキャシーを抱く気がありありなのがよく分かり、別の回では自分のことしか語らぬ男が標的だとか、事細かにシチュエーションを捌く手腕がまずスゴい。男性目線で描かれがちなリベンジものを刷新しつつ、男性がこれを見ても唸るであろうと仕掛けといい、それぐらいに「現代」と「客観性」が素晴らしい。こうまで鮮やかな演出は多分初めて見ましたね。

しかも映画が凄まじいのが「電話」が出てきてからですね。

どういう意味かは最後まで見て欲しいしか言えないが、おそらくかつて見たこと無かったクライマックスだと思う。リベンジものでこういう結末存在したのか分からないが、終わった後に残る余韻の大きさに降参です。

謎めいたキャシーを演じるキャリー・マリガンも必見。ボクはそんなにこの人の映画を観てはいないんですが、多分これを代表作にボクだったら推しますね。それぐらいに謎めいていて、痛切で、怒り狂って、打算的で、儚くて、強い人間だったから。

もうホントに映画館でこれを見とけば良かったってぐらいに今まで見たこと無かった斬新な復讐譚。「許されざる重罪」に対する映画のアンサーや現代のレイプリベンジ映画の衝撃、是非一度!
平田一

平田一