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プロミシング・ヤング・ウーマンのrillのレビュー・感想・評価

4.2
予告編でサイコナースが無双する展開かと思ったが、そんな非現実的なアクションなどはない。力でも権力でも数でも敵わない、それでも命をかけて爪痕を残す執念に涙。
性暴力シーンが来るかと身構えることもあったが、きちんと配慮されていた。流石女性監督。
直接的な表現に頼らずとも伝えることはできる。
エログロバイオレンスを期待していた観客にとっては退屈だろうが、レイプや女性虐待表現をエンタメにして消費はさせまいという矜持が感じられる。
「紳士的な傍観者」への軽蔑は、表現の自由の名の下にレイプカルチャーを作り上げてきたクリエイターや我々観客にも投げかけられる。
性暴力や性犯罪はポルノではない。
あらゆる日常に女性が性的消費されているのは、冒頭のシーンからも分かる。
乱れた男達が股間をくねらせる、通常は女性達で構成されている絵面だ。
男になるといかに異様な眼差しかわかるだろう。

タイトルの意味は無念に散った女性達が未来に託した時限爆弾でもあると思った。
黙らされたり殺されて封印された女性たちの声も、いつか日の目を見る日が来るかもしれない。
のうのうと過ごしてる性犯罪者達にもいつか爆弾が発動する時が来るだろう。
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