おばけシューター

プロミシング・ヤング・ウーマンのおばけシューターのレビュー・感想・評価

3.9
よかった!いいと言っていいのかわからないけど、すごくよかった!

この年は「スワロウ」「あの子は貴族」「ラストナイトインソーホー」「手塚治虫のブッダ〜赤い砂漠よ美しく〜」と、女性が主役、そして主題でもある傑作がたくさんありましたが本作はその筆頭でしょう!(ブッダは嘘ですよ。一応。)


やや内容に触れます。

冒頭、超クールなタイトルバックとDeathbyRomyのサウンドトラックに目を奪われるが、注目すべきは「それってフェミニズムとしてどうなの?」というキャシーの行動で、これは誰もがそう思うようにつくってあると感じる。

そう思わせることがこの作品に仕掛けられた真のトラップで、先述の印象≒「女性側だって悪いでしょ」「そういう男もいるよね。俺は違うけど(笑)」という態度こそが本作が提起する問題なのでは?
そう解釈したとき”傍観”していた自分に急にカメラを向けられたような気持ちになった。
あのウィンクは、わたしに向けられていた ;)

ところでバイオリンのフレーズが印象的なメインテーマはブリトニースピアーズのToxicのカバーですが、元ネタのMVをみるとラストナイトインソーホーのミュージカルパートのような露骨に性的な消費を狙ったものだった!このビデオは見たことなかったので結構びっくり。確かに当時はあぁいうの多かったかな。今みると本当に酷い。

監督は、今は男性ですが以前は女性と自称していたGender Fluid?にあたる方で、両方の性を経験したからこそ作れた作品なのは間違い無いでしょう。強い熱意があり、娯楽として消費させないという制作側の意思がビンビンですが、
作品としてかなりテンポがよく、クールな仕上がりと主演女優のハマりっぷりで、映画として完成度がめちゃくちゃ高いのがすごいよなぁ。
後ろ暗くはあるが痛快でもあり、非常にテーマ性が強いが説教臭くは無い。次回作をアンヴィバレントな気持ちで待ちたいと思います。

それにしても、望まない状況でカメラを向けられる不快感、嫌悪感はすごいですよね。
自分の経験で最悪だったのは横浜駅で当時の彼女と別れ話になり涙目だったのをホームレスみたいな変な女(Hopeless Young Woman)に動画撮られたことです。
今でもたまに思い出すたび、ぶっ数すぞって思う ;)