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プロミシング・ヤング・ウーマンのrensaurusのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

男性の暴力性、性欲、幼児性があまりにグロテスクで、本当に気持ち悪かった。主人公が秀才らしい周到な手口で、身を賭してまで復讐をやり遂げるに至る気持ち良さはあるものの、やはり救われない気持ちが残る、復讐系胸糞映画。

主人公キャシーの序盤の成敗に初めは全く共感できなかったのだが、彼女のバックボーンが明かされていくにつれて、自暴自棄や贖罪の側面があったと分かり、徐々に感情移入できるキャラクターになっていった。

中盤の元同級生ライアンとの恋愛が、それらしく発展していくワクワク感もあるなかで、裏切られてしまうのではないかという予感もあり、「どうか幸せになってくれ」と祈るように展開を追ってしまった。少しでも光をみせたからこその絶望感がすごかった。

「前を向け」「子供みたいな執着」「二度と関わるな」「まだ子供だった」と言い訳や慰めを貰おうが、彼女にとっては傷も癒えていなければ償いや弔いにもならないし、ニーナを差し置いてのうのうと生きている性加害者や、その周りの人間に怒りが抑えられないのも当然だ。全てを晴らせるのなら死んでも構わないという彼女の傷の深さと覚悟がよく表れていた。かっこいいと言えばかっこいいんだけど、ただ強烈にグロテスク。

自戒とやるせなさで埋め尽くされる、完成度が物凄く高い映画でした。
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