キラリ

プロミシング・ヤング・ウーマンのキラリのレビュー・感想・評価

3.9
“終わったと思ってないよね?”

プロミシング・ヤング・ウーマンとは明るい未来を約束された女性のことをいう。まず、このタイトルからしてこの作品にふさわしく秀逸だと思った。

この映画は、主人公キャシーが、親友がある日レイプの餌食となった末に亡くなるという不条理を経験し、復讐を企てる物語である。“性被害”というシビアな題材をポップな音楽と色彩豊かなファッション等アイテムを散りばめることで、少しとっつきやすい印象に仕上げているのが新鮮で最後まで飽きずに観ることができた。とはいっても最後はやるせない気持ちに心が支配され、もやもやが残ってしまった。作品そのものに対してではなく、現行の法律での“性被害”の刑罰の軽さに対してだ。

被害者ではなく加害者を守る。数年後も加害者は何事もなかったようにのうのうと生きている。理不尽極まりないが、それが現実なのだ。クライマックスでのキャシーの報復行為は一見スカッとするが、手段は合法的なものではなく決して許される行為ではない。だけれど、こうでもしないと加害者を社会的に抹殺し復讐することは困難であるのもまた事実。犯罪の温床を作り続けるこの歪んだ社会・・・こういうテーマの作品を観るとただただ無力さを思い知らされる。
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