Monisan

プロミシング・ヤング・ウーマンのMonisanのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

観た。

ずっと感情移入して応援してきたこの映画の主人公キャシー、彼女が野っ原で焼かれてしまうシーンは衝撃的だった。
身を挺してそこまでせずとも、クズ男達やその周辺に仕返しは出来たんじゃないか。もしくは、もっと用意周到にあんなオモチャの手錠じゃなければ…
終わった直後はそう思ってしまったけど。失踪する事を想定していたって事は、彼らに最大級の罰を与える為に自らが殺されるという選択肢を高確率で引かせるように仕向けていたのかも。

基本的にキャシーは、クズ人間達と同様の事はしないギリギリを攻めていた。同級生の女にも、男はホテルの部屋に居させただけ。学長の娘にもファミレスで待たせただけ。そもそも酔っ払った(フリ)のキャシーをお持ち帰りするクズ男達にも警告を与えるだけだった。
同じ穴の狢にならないように、あくまで自制を求めていたし、ニーナのような人を2度と作らないように活動していたのかな。
ただアルには、何かしらのしるしを残そうとした。抵抗するアルは抑制出来ずに、過剰にキャシーに暴力をふるい、結果として最悪の罪を重なる事となる。

ライアンに関しては、本気だったんだよね…だから動画を見た時、あんな表情に。切ない。
でも突きつけられた際のライアンの反応、刑事に聞かれた時にさらっと嘘をつく様子、見限ったキャシーの決断合っていたね。

凄い脚本だな。賞も獲っているみたいだけど。躊躇してない。普通、少し救いとか残したくなるけどしっかり振り切っている。

そしてキャリー・マリガン、俳優という言い方でなく、あえて言うけどこれぞ女優さんっていう変化っぷり。
ドスのきいた低い声で話したかと思えば、酔ったフリのダメ女感、相手を追い詰める時の冷たさ、怖さ。家族との普通の会話。ライアンとの楽しそうな表情、ストリッパーナース。そして焼かれている時のウデ。見事としか。

4章の冒頭、ブリトニーのtoxicのマイナーアレンジというか、恐怖バージョンというか。めちゃ効いてた。あのポップス中のポップスが不穏な曲に。ざわつく。

見応えあったけど、悲しすぎる。復讐は果たせたけど、全然スカッとしない。
しかもこういうクズ達にリアリティを感じてしまった事も恐ろしい。いるよね、こいつら。日本にも。
たくさんの人に観てもらいたい。なんなら18歳の成人式に各地で上映したらよい。

エメラルド・フェネル、脚本・監督
Monisan

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