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プロミシング・ヤング・ウーマンのmofaのレビュー・感想・評価

3.8
エメラルド・フェネル監督作品。
「ソルトバーン」の監督さんです。
NETFLIXで、配信が2月6日までとなっております~。

女性の性被害について、
切り込んでいながら、
ポップ調で、
しっかりとエンタメに仕上がっている。
 音楽や、色使いのうまさは、
ソルトバーン同様で、
魅せる作品になっている。
 エンタメで引き付けておき、
視聴後、心に重くのしかかるものが、
本作の肝となる。

女性も男性も、観るべき作品だろう。
被害者か、加害者か、傍観者か。
どの立場で、共感するだろうか。

☆以下、ネタバレ☆

 復讐は、同級生・校長・弁護士・レイプ主犯格・・・と4人になる。
劇中、ナンバーが出てくるが、5人目は、
多分、キャシー本人じゃないかな??と思う。
 ニーナを助けられなかった自分を、
ひどく責めていたし、
ニーナの一件が、
彼女に大きな影を落としているという事が
感じ取れる。
 ニーナを助けられなかった事。
返り討ちまで計算していたかどうかは
分からないけど、
5人目である自分自身の死で、この復讐は完結すると思っていたんじゃないかな。
(まるで「セブン」みたいだよね)

本作はレイプ被害者は元より、
それによって、周囲の人間もまた、
苦しんでいるという事が描かれている。

「プロミシング・ヤング・ウーマン」とは、前途有望な若い女性
・・・という意味だ。
「前途有望な若い男性」を
守ろうとする社会を、
皮肉っているようにも思える。
被害者は元より、
その周囲の前途有望な若い女性が
犠牲になっているという点を、
明確に描いている。

キャシーが今も、
過去の事件に苦しんでいるのに対し、
加害者側が完全に過去のものに なっている事に、唖然とする。
「昔の事だろ」「酒のせいだ」
「若気の至り」だと。
 男性でなく、女性もまた、
「飲んだ方が悪い」とか
「そんな所に行くのが悪い」と言う。
 同性の中にも、敵はいる・・
という事もまた、
リアルな所だと思う。

1989年「告発の行方」から35年です。
でも、同じような事件が繰り返されるよね。
なかなか、人間の考え方って変わらない。

100%レイプした側が悪いとは思っている!
それを、許す気とかないし、
被害者もどんな状況でも落ち度はないと思っている!

それでも、私は、やっぱり、娘たちには、
「泥酔するまで飲んだらダメよ」
と言うだろうし、
「夜中に出歩かない」と言い続けるし、
「露出した服は、
あまり着ない方がいいんじゃない?」と
それとなく言うと思う。

でも、それはトラブルに
巻き込まれないようにする為。
レイプだけではなく、
その他のトラブルにおいて。
 いくら平等だといっても、
女性は体力的な所で劣る。

もちろん、そうしない事が、
被害者の落ち度にはならない。
他の事件で、被害者の落ち度とか云々を言われる事はない。
すべての暴力や、レイプの原因は、加害者にしか存在しないのだ。
 
頭ではわかってるけど、そんな風に娘に指導しちゃう時点で、
偏見になっちゃうのかな??とか考えてしまう。
 自分にはないと思う偏見について、
こう、考えさせられてしまう作品なんですよね。

サントラがかなり良いですね。
この作品の世界観と非常にマッチしてる。
特に、キャシーが小屋に向かうシーンの
ブリトニー・スピアーズの『Toxic』には
痺れました。
 もう、このシーンは最強でしたね。

イマイチだったのは、
復讐劇なんだけど、最後がスッキリしないっていうのがね~。
結婚式で逮捕されるだけなんて、
物足りない~!!
・・・・なんか、こういうありきたりなんだよね。
ライアンも、どうなるか描かれてないし。
こんな最後なら、もうちょっと、余白残してのクールな終わり方でも
良かったかな・・・って思ちゃいました。

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