ゆう

選ばなかったみちのゆうのレビュー・感想・評価

選ばなかったみち(2020年製作の映画)
2.1
認知症を患っている現在、移民としてではなくメキシコで失った子供の想いを抱えながら生きるという"選ばなかったみち"、そして家族を捨てギリシャで小説家として生きるという"選ばなかったみち"の3視点から描かれる構成になっている。複雑さはなくテンポもいいがどうもとっ散らかっている印象。
長く生きていれば、その分帰路は多くなるのは分かるんだけど、強い後悔を持っている1つの"選ばなかったみち"との比較で展開していった方が良かったように思う。
3視点から描けばレオの人生が本来は深く理解でき、没入感も得られそうなもんだが、どうも薄まっている感が否めなかった。
作家として行き詰まりギリシャに行っても、1週間?1ヶ月?そこらで家族の元に戻っている辺りも、意外にあっさりした悩みだなと拍子抜けしてしまった。

なにより、どんな道を選んだとしてもレオの性格上そんなに幸せにはなっていないんじゃないかと思ってしまうのよね。
可愛いエル・ファニングに献身的に介護してもらえている現在が結局1番幸せなんじゃないかと。

ラストはモリーとしての"選ばなかったみち"を予期させるシーンで終わるが、介護も綺麗事では出来ないからなぁ。
父親を"彼"と呼ばれ、個人として向き合ってくれない人々に憤りを覚えていたけど、人に介護を任せると介護行為が作業として彼女には映ってしまうだろうし、それを許容出来るのか。
記者としての道を選んだとしても、もちろんそれは誰も責める事は出来ないでしょう。

結局は選んだ道を自分で正解にしていく事しか出来ないですからね。
ゆう

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