とりん

選ばなかったみちのとりんのレビュー・感想・評価

選ばなかったみち(2020年製作の映画)
2.5
2022年89本目

1人で生活もままならない認知症を抱えた父を介護している娘と現実が目に入らず幻想に浸っている父の物語。
なんか思っていたのとちょっと印象が違ったなと言ったところ。丁寧に描こうとしてるのはわからなくもないけれど、全然伝わってこない。
最初は父の認知症の話も特になくて、場面からそこは読み取ることができるけども、父の幻想と行ったり来たりするので、その幻想が過去の出来事なのかそうでなくても誰が誰なのかというのが後半までよくわからず、モヤモヤした感じで進んでいく。
娘は今頑張っていた仕事を放り出してまでも父の介護に努めるのだけれど、いろんなことを犠牲にしても父からの反応が何もなくひたすらに介護する姿に胸が痛くなる。いや介護ってこういうものというのはわかるし、父だからというのもあるけれど、母は離婚してるとはいえ無関心すぎるし、頼れる人もホームヘルパーの方くらいしかいなくて見ていてすごくやるせなくなる。しかもこの父が幻想の中とかで良い人だったらまだ良かったのだけれど、そんなシーンはほとんどなく、イライラさせられるような言動や行動ばかり。元妻や娘の面影を感じでストーカーまがいに付き纏うような感じや初恋の人との上手くいかなかった(息子が亡くなったとはいえ、どう考えても父が原因に見える)様とかもう無様とも言える姿。だからこそ彼に気持ちが通らなくて、娘が懸命に介護するに結びつかないんだよなぁ。しかも父はその腐った幻想に浸ってる感じがするし。
最後には名前を呼ばれて少し報われた感じがするけど、80分積み上げたモヤモヤは消えなかったな。
父を演じたスペインの演技派俳優バビエル・バルデム、娘を演じたエル・ファニングの演技だけでまぁ観れたかなとは思えた。エルは役柄的に疲れてたのもありちょっと顔面の調子が悪かったかな笑 エルも仕事をしている役を演じるようになったのかと違う面で成長を感じた。
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