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選ばなかったみちのshinのレビュー・感想・評価

選ばなかったみち(2020年製作の映画)
4.2
認知症の父とそれを介護する娘のある1日の物語。
実際に若年性認知症だった監督の弟との出来事を基にしているだけにやり取りがすごいリアル。エル・ファニングとハビエル・バルデムの演技のお陰もあって物語にさらに入り込めた。やっぱエル・ファニング好き。

認知症の父が後悔から過去の記憶を巡り、選ばなかったみちをさ迷う。物悲しいifストーリー。
このさ迷いをみて数年前亡くなった自分の祖母を思い出した。母からの話、ケア施設で早朝に床に座り込み、「娘(母)にお弁当を作らないと…」と過去をさ迷っていたらしい。お弁当を作っていたのなんて何十年も前のことなのに。
認知症になると近くの記憶は曖昧になる分、遠くの記憶が甦りやすくなるのかな?エモくもあるけどすごく切ない。
監督の弟は若年性で行動力があっだろうし介護はすごく大変だったと思う。弟が過去への後悔を呟いていたことから生まれたストーリーなのかもしれない。

最後の描写は監督自身の後悔による分岐に思えた。「あの時も寄り添ってあげていたら」という後悔。でもきっと愛は伝わってた。こうやって弟の立場に立ち、弟に捧げる素敵な作品を作り上げたこと含めて。
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