けーはち

選ばなかったみちのけーはちのレビュー・感想・評価

選ばなかったみち(2020年製作の映画)
3.3
人生には様々な岐路あり。心の底では捨てた選択肢に拘泥し、認知症の妄想として渦巻く──老作家と彼の世話をする娘とのほぼ二人芝居のような父娘ドラマ。妄想に現れるのは①祖国メキシコの恋人との別れ(彼女との子が死亡)②妻子が煩わしくなり単身ギリシャへ、という2つの時制で①→②→現在の間は各々20年以上離れるがハビエル・バルデムは50代の素の姿でカツラや特殊メイク等なく老年期も過去も演じ、時制が一瞬混乱する。意図的な認知症の追体験かな。全く似てない娘エル・ファニングも要領得ぬ父の世話に疲れて別離を選ぶか仕事を捨て最期まで看取るかの選択を……どちらも100点満点の回答でなく選ばなかった方に一縷の悔いは仕方ない人生劇場。