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ベイト(餌)
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『ベイト(餌)』に投稿された感想・評価

細かく刻んで繋ぎ合わされた映像と不穏な音楽でゾワゾワが止まらない漁村ムービー

カタパルさん有難うございます☆

『The Lighthouse』並みに訛りがキツかったけれど、台詞が無くても映像だけで十分伝わってくる展開でした!

英語鑑賞
英語字幕あり



漁村。

マーティンはボートを買う貯金をしつつ、細々と波打ち際で魚を捕って生活している。

一方、兄のスティーヴンはさっさと漁師は諦め、観光業に。
息子ニールはマーティンを手伝う。

バカンスに訪れる金持ち達は、自分勝手に彼等の生活を荒らした。

そして、事件が起きる………



ざらざらとしたモノクロの映像に、ラジオや時計、波や足音がギリギリと響く。

突然一時停止したりして壊れたのかと思ったw
ラストもそれでドキリ!

漁村の毎日変わりのない日々に、バカンスのアホ共が土足で入り込んできて、日常が非日常に変わってしまう様がなんとも。。。

とにかくバシバシと切り替わる視点に驚くけれど、独りよがりではないので見やすかったです☆

バーで4人の会話が入り乱れるシーンは楽しい♪
マシンガントーク過ぎて半分くらいしか分からなかったけどもw

魚の匂いがしそうな89分でした( ´∀`)
すごい映画。2020年に観た映画の中でトップ3に入るかも。タイトルの"Bait"は「釣餌」という意味です。釣餌は何か?その釣餌の罠にハマっているのは誰か?

監督はイギリスですでにドキュメンタリーなどを中心に多くの作品を手掛けているマーク・ジェンキン監督です。ストーリーは単純で、セリフもあまりありません。セリフによる説明がほぼありません。(映画はやっぱり映像で語らないとね!)それなのに(だからこそ)、この作品が生み出す緊張感は尋常ではありません。

観光化しつつある漁港コーンウォールを舞台とした地元民と新しく来た観光業の対立がメインのストーリーです。元々いた漁師を代表するのがマーティン(エドワード・ロウ)です。マーティンの兄のスティーヴン(ガイルズ・キング)は漁業を諦め、漁船で観光客のためにツアーで生計を立てます。一方で観光業の代表が"Skipper's Cottage"を経営するリー一家です。

このように非常に地味な話なのですが、積み上げられていく緊張感がハンパないです。この緊張感はどこから生まれるのでしょうか?

😨この映画が持つ特別な緊張感を生み出す源泉😨
👍編集とモンタージュ
👍効果的な音の使い方

撮影はボレックスの16ミリカメラで撮影されています。これがこの作品の大きな特徴の一つを生み出しています。家庭用のビデオカメラは8ミリカメラが多いのですが、ボレックスは家庭でも使える16ミリ映画カメラとして普及したのだそうです。マーク・ジェンキン監督が使ったカメラは録音機能がなかったため、セリフなど音声は後からアフレコをあてました。これが二つ目の特徴的な効果を生み出しています。

👍編集とモンタージュ
この作品はかなり独自の編集とモンタージュで構成されています。カットアウェイともジャンプカットとも違う。大事なシーンでは時系列や場所がバラバラになります。しかし、支離滅裂ではない。何が起きているのかはわかる。

ボクは独りよがりで自己満足な前衛表現は大嫌いです。この作品で使われている独自の編集は決して監督の独りよがりではない。ちゃんと観客に伝えたいことがあるから、あえてそうしているんだと思います。だから、ボクみたいな前衛表現が苦手な人間にもちゃんと伝わる。

特に独自のモンタージュが使われるのは漁師の代表であるマーティンと観光業の代表であるリー夫婦が交わる時なのです。この独自の手法で緊張感を高めている。観客を不安にさせるんですよね。最初はそれほどストレスではないのだけれど、それが続くとどんどんストレスが蓄積される。これがこの作品独自の緊張感を生み出しているんだと思います。

👍効果的な音の使い方
この作品にはほとんど音がありません。かすかに波の音、かもめの鳴き声が聞こえる程度です。バーでは音楽がかかりますが、それも作品ではかなり抑えられているので、どんな曲かまでは判別できません。

この作品は「存在」よりも「不在」が重要な意味を持つ映画です。「何があるのか」ではなく「何がないのか?無くなったのか?」が大事です。例えばコーンウォールの漁業です。人の存在よりも人の不在の方がより大きな意味がある。その象徴が音なんだと思います。音がない世界。それがコーンウォールです。釣餌は何か?その釣餌の罠にハマっているのは誰か?
[バカンス事業の暗部、或いは悪夢の"女っ気なし"] 100点

故郷コーンウォールを中心に活動するマーク・ジェンキンは、これが何本目かの長編作品(多分五本目?)であるのに全く無名であった。無名過ぎて長編デビューであると紹介された記事すらあった。金がないばかりに父から譲り受けた家を金持ちの別荘として売っ払い、生活のために最も必要な船ですら観光用に改装する兄弟の物語であり、正に悪夢版『女っ気なし』と言った具合か。魚の顔や人間の所作をグロテスクに強調する本作品は、一連の行動をぶった切って分離してまで所作を強調するせいで、どこかサイレント映画的なぎこちなさと、ボタンを掛け違えたような居心地の悪さが共存している。ぶった切られた人間の動作は映画そのものに感染し、脈絡のないカットをサブリミナル的にぶち込むことで映画の流れを自由に伸縮させ時間すら超越させることで、プリミティブな形のモンタージュ理論を構築することに成功している。例えば、地元の女性がキューボールを投げるシーンでは、警察が来る前に逮捕シーンをサブリミナル的に導入して未来を暗示させるし、なんならラストシーンとファーストシーンは全く同じなのだ。そして、異なる動作が一つに交わるように配されることで、それら二つが次第に融合していく。
これは後から知ったのだが、ジェンキンはサイレント映画を作るように音声を敢えて収録せず、声を含めたすべての音を後から付け加えたらしい。まるで吹き替え映画を観ているかのように、意図的に視覚的情報と聴覚的情報に解離をもたらすことで後述の"金持ちと地元民の対立"と呼応して、ある種の違和感を与えてくる。ジェンキン本人が抱えていた16mmフィルムのストックを使った上で、映像には(恐らく)恣意的なノイズが乗っかりまくっていて、ひたすら不穏。

この意図的に作られた映像の迷宮で苦しむのはある漁師兄弟だ。兄のスティーヴンは観光業に乗っかって、船を改造して観光船に変えてしまい、実家は勝手に売り払ってしまう。それに反発する弟のマーティンは甥ニールを借りて砂浜に網を埋めて魚を数匹捕まえることで漸く漁師としての生活を続けていた。彼らの仕事場で命を掛けた闘いをしている横で、バカンスを楽しむ都会の金持ちたちは優雅にビーチを楽しんでいる。迎合するスティーヴンと反抗を選ぶマーティンの間にいるニールは、マーティンから漁業を学びながらもバカンス客のケイティーと仲良くなり、"侵入する異文化"に対して自分なりに対処しようとしている。埋められない対立の中にいる唯一の人間といっても過言ではないかもしれない。

"釣り餌"とはこの村自体だ。都会の人間が自分の生活の片手間に田舎の漁村を牛耳り、それをバカンスビジネスに繋げて金儲けを企む。地元の人間はそれに振り回されている。実家ごと駐車スペースまで買い取った金持ちはマーティンにそのスペースを貸さないし、朝から船を出そうものなら"うるせえ!"とブチ切れられる("君は法律を犯しているぞ"という名言まで聞ける)。地元の生活は都会の人間たちに踏み躙られ、田舎を利用した都会人による都会人のためのビジネスは地元になんの利益を落とさないまま都会人たちの中で回っていき、バカンスが終われば誰も居なくなる。埋まらない溝はサブリミナル的な切り返しで埋められるのみだ。そして、映像のぎこちなさに起因する居心地の悪さは、アイデンティティが揺らぐマーティンの当て所もない旅路に重ねられていることに今更ながら気付かされる。

ドキュメンタリーライクな実験映画でありながら、どこか『The Last Black Man in San Francisco』にも似た構造を持つ本作品は、網にかかった魚のように動けぬまま、徐々に窒息していく人々を描いている。望まぬまま流入する異文化との衝突がメインなのか、それらを理解し得ぬまま殻にこもることがメインなのか(要するにブレクジット)は捉え方次第なのかもしれないが、この間延びしたようで実に引き締まった本作品が素晴らしい作品であることには変わりがない。

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