幽斎

バイドーン 真夜中の来訪者の幽斎のレビュー・感想・評価

3.6
レビュー「2」と過去最少(笑)。「ネタバレ表示」する程のクオリティも無いので、全ての方が未見だと思いますが、気に為る方は此処で閉じて下さい。唯一感想を書いてる「てるる」さん、心の底から尊敬。

世界各地の上空に謎の黒雲が出現、元米海兵隊員の主人公は、イラクでの後遺症に苦しみ、娘が同じ海兵隊に入隊したい希望を断固拒否。自分達が死ぬかも、と言う状況で娘の将来を考える父親の苦悩が、意外と上手く描かれてる。PTSDに苦しむ主人公を親身にサポートする妻、可愛い子供達との関係性など人物描写も悪くない。家の中だけで1時間の尺を緊迫感で覆う演出など、寧ろ健闘してるレベル。

隣人がエイリアンに消される様子を見て、戦う覚悟を決めるが、家族が助からないと悟った主人公は、子供を撃って自分も死ぬ、と意味不明な事を言い出し妻にも銃を渡す。そして、家の中にエイリアンが侵入。家族と共に地下室へ隠れ、エイリアンに発砲するが、それで死んだら苦労はしない。海兵隊で何を勉強したのか、小一時間問い詰めたい。妻は子供達に発砲、そして自分も・・・。

此処で終われば面白くないパニック映画で終わるが、物語には続きが有る。主人公に近づいたのは、エイリアンでは無く白衣を着た男。主人公が目覚めたのは病院、つまりPTSDを患らう主人公は、解離性同一障害も併発してた、と言うオチ。冒頭から「DID」と言うフレーズが頻繁に出て来るが、何かの都市封鎖の用語にも聞こえるが、スリラーに詳しい方なら簡単に分る。解離性同一性障害「Dissociative Identity Disorder」つまりDID。昔は多重人格と言った精神疾患。家族は主人公の妄想に過ぎず、未婚で有る事も明かされる。

何やソレ!と怒りの撤退をしようと円盤をイジェクトする貴方に、本作は待った!を掛ける。物語には続きが有る(2回目)。病室のドクターが何かを感じて窓へ近づくと、向こうに見えるのは黒い雲。そして病室で目覚める主人公(2回目)、そしてエンドロール。本当に開いた口が塞がらない。

超無名の2人の監督。片方がドラマ寄りの監督で前半を演出。もう1人が売れる事を狙ってスリラーに寄せた監督。と考えるとアンバランス感は説明出来る。前半の家族のシーンが良いと言いましたが、ソレを崖から突き落とすオチは、単なる監督の自己満足で、ビタ一文評価出来ない。家族以外の周りがエイリアンを信じないシーンを入れる事で、後半のカタルシスが活きる訳で、最後で演出面の未熟さを露呈。ラストは主人公が「予言」したと思わせたいのだろうが、ソレを世間一般では「蛇足」と言う。それが許されるのは「シベ超」だけ。

ダメ映画がお好きな方はチャレンジして良い案件かも。レビュー4件目、お待ちしてます(笑)。
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