追悼グンネル・リンドブロム。私の大好きな女優の一人が亡くなってしまった。彼女はベルイマン作品に多く出演した後、ジョン・ギラーミン『かもめの城』で"スウェーデンのソフィア・ローレン"としてハリウッドデビューを飾るものの、ハリウッド的な映画製作や故国を離れることが好きになれずスウェーデンに戻り、その後は主に舞台で活躍していた。イングリッド・チューリンやマイ・セッタリングなどベルイマン女優たちと同じく、リンドブロムも『砂の上の楽園』を含めて映画を撮ることもあった。また、ベルイマン以外の作品にも何度か登場している。中でも本作品とマイ・ゼッタリングによる『歓喜のたわむれ (Loving Couples)』『ガールズ (The Girls)』の三本は特に有名だろう。特に本作品の社会的リアリズムは、カール・テオドア・ドライヤー以降のデンマーク映画で初めて国際的な注目を集めたことで知られている。クヌート・ハムスンの半自伝的小説を基にしており、主演の Per Oscarsson がカンヌ映画祭で主演男優賞を受賞した。