秋

STAND BY ME ドラえもん2の秋のレビュー・感想・評価

STAND BY ME ドラえもん2(2020年製作の映画)
3.5
私は小さい頃からのび太が好きじゃなかった。言い訳ばかりで、逃げてばかりで、頭も悪いし、情けないし。ジャイアンやスネ夫との関係も、しずかちゃんとの関係も、決してポジティブなものではなくて、単に子分や可哀想な人という位置付けでの彼であり、不憫だなぁとおもっていた。
大人になった私は、まさに野比のび太そのものとなったのだが、幼い頃はのび太のようにできず、仮面をかぶっていた。傷つくのが怖かったから。でも、そんなのはやはり長く続かなかったから、わたしはのび太みたいなできそこないに戻ってしまった。
でも、大人になったのび太やジャイアン、スネ夫、しずかちゃんとの関係性を見て、なんて素敵だろうと思った。わたしももっともっと小さい頃から仮面を被らずに生きていたら、大切でたまらない友達のひとりやふたり、できていたのかもしれない。
社会で目立つ人間は、わかりやすい何かをもっていて、そしてそれはたいていかっこいいものだ。そうでない人間の良さはわかりづらいし、かっこよさとは少し違う。
自分にしかないものっていうと、なんだかファンタジーの世界の話みたいだが、この世に生きてるということは、何かしら存在意義があるからだ。わかりづらいよさも、しっかり見つけていきたいと思わされた映画だった。
秋