Rocko

ナショナル・シアター・ライヴ 2020 「プレゼント・ラフター」のRockoのレビュー・感想・評価

4.5
イギリスの傑作舞台を映画館で上映するナショナル・シアター・ライブ(NTLive)
2014年にダニー・ボイル演出、ベネディクト・カンバーバッチ&ジョニー・L・ミラー主演の『フランケンシュタイン』で初上陸してから今年で7年目だそうですが、10/9(金)から上映されるアンドリュー・スコット主演『プレゼント・ラフター』をFilmalksさんのオンライン試写会で初体験させて頂きました。

悩み多き中年の大スターとその取り巻きたちのドタバタコメディ。
物語の舞台となる1930年代を見事に現代版喜劇として蘇らせ、実際の観客と同じ立場で一緒に笑いながら最前列で舞台を観るようなスタイルに加えて巧みなカメラワークで俳優の表情のアップや舞台の隅々までのセット、小道具も見渡しながら2時間半強の観劇は非常に見応えのある「映画」でした。

BBCドラマ『シャーロック』のモリアーティー役で一躍有名になったアンドリュー・スコット。私もこのドラマでインパクトある演技に魅了された一人ですが、この時点で数々の受賞歴がありイギリスでは既に有名な実力派俳優だったようです。
このオンライン観劇というスタイルでまたもアンドリュー・スコットの凄さを見せつけられてしまった。

映画の自然な演技とは異なる舞台ならではのオーバーアクトに最初は戸惑ったものの観ているうちにぐいぐいと引き込まれました。これもキャラクターを表現する芝居だと気づき、目まぐるしく変わる表情、全身での感情表現など熱量が画面を通して伝わって来ます。

初めに登場するダミ声のティンカーベルみたいな女優に不安を覚えるもモニカ役のソフィー・トンプソンとの掛け合いを始め、次々と登場するユニークなキャラクターにクスクスと笑えた第一幕。フレッド君が可愛い。

字幕だと微妙に観客と笑いがズレるので極力英語で。舞台は声張ってくれるので凄くイギリス英語が聞きとりやすいのも映画と違った魅力でした。

第二幕でストーリーが動き出し、話もわかりやすくなりました。ドタバタ劇がめちゃくちゃ面白い!モール君のストレートな愛情表現が好き。
アンスコの一人芝居の豊かな表現力に夜中に一人で爆笑。
徐々に動から静へ。俳優陣の演技もシリアスに…

カーテンコールはウルウルしながら画面に向かって拍手。
イギリスで大人気だった理由がわかります。
画面を通してでも素晴らしい舞台でコメディもわかりやすく、舞台俳優のクォリティにひたすら感動。
同性愛がタブーとされていた1930年代の原作から性別を逆転させたキャラクターを取り入れ、男性同士の愛も絡めたこのコメディを自身でもゲイをカミングアウトしているアンドリュー・スコットが演じたことは大きな価値があると思います。

NTLive 次回作は『シラルノ・ド・ベルジュラック』ジェームズ・マカヴォイ主演‼︎
シャマラン3部作『スプリット』で6つの人格を演じたカメレオン俳優。これはヤバい。12月公開の次作も楽しみ!鑑賞料金3000円も舞台に比べたら安い‼︎

●2020年170作目●
Rocko

Rocko