てっぺい

るろうに剣心 最終章 The Beginningのてっぺいのレビュー・感想・評価

3.5
【見返したくなる映画】
愛する人を殺める結末が分かっているからこそ、感情移入し続ける2時間。逆刃刀で戦う主人公の想いを再認識するラストは、どうしようもなくシリーズを始めから見たくなる。アクションや役者の演技力にも注目。
◆概要
シリーズ完結編2部作の第2弾。
監督・脚本:大友啓史
出演:佐藤健、武井咲、青木崇高、蒼井優、江口洋介、有村架純、新田真剣佑
◆ストーリー
剣心に復讐するべく東京を総攻撃した上海マフィアの頭目・縁との壮絶な戦い。その理由は、剣心が「人斬り抜刀斎」と恐れられていた幕末へとさかのぼり、剣心が自らの手で斬殺してしまった妻・雪代巴の存在、そして十字傷の謎へと繋がっていく。
◆トリビア
○2部作合計の総製作費は約50億円。(https://eiga.com/news/20210603/13/)
○2部作「THE FINAL」「THE BEGINNING」は同時に撮影が進められた。(https://www.fashion-press.net/news/71717)

◆以下ネタバレレビュー

◆見返したくなる
ラストにきちんと第一作の冒頭を繋いでるので、もう一巡したくなる。剣心が巴を殺めてしまった事で決めた、不殺の重みが分かった上で見返すシリーズはきっと見応えが変わるはず。「スターウォーズ」に「X-MEN」、邦画なら「リング」など、前日譚を描くシリーズは数あれど、主人公の想いの深さを知る本作は、もう一度見返すなら、きっとシリーズの重みや見方が大きく変わるものだと思う。あと、映画のタイトルが映画冒頭ではなく、エンドロール前でやっと出される演出。剣心が巴を失い、本当の流浪人となるこのエンドこそが、まさに“るろうに剣心”の始まりだという意味合いを強く感じられて、とても効果的な置き方だと思った。
◆アクション
冒頭、腕を縛られた剣心が口に加えた刀で斬り散らすシーンは、おそらく本作が映画史で初めて(?)ではないか。逆刃刀の切れない刀というオリジナリティで、シリーズを通して見たこともない色んな殺陣の形を見せてきてなお、このラストで新しい形をサラッと見せてくるあたりがニクイ。
◆演技力
監督は、撮影中に思いがけず涙を流した俳優がいたと語っている。(https://www.fashion-press.net/news/71717)劇中、新撰組と緋村が対峙するシーンで、退くことを命じられた緋村が(というより佐藤健が)何気に落涙していた。あれが汗でない前提で言うけど、初めて組織に属した緋村の、組織の壊滅を目前に、それでも退くことを余儀なくされたジレンマを表現しての涙だとするのならば、それは彼の役者魂以外の何物でもないと思う。
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