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るろうに剣心 最終章 The Beginningのpeplumのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

なんとも形容しがたい不思議な映画だった。るろうに剣心自身がるろうに剣心映画を辞めて新しいことを始めてるなと思った。美味しい町中華の居抜きで美味しい寿司屋が始まったみたいな気持ちになった。見ててすごく思ったのはスパイダーマンでいうとベンおじさんが死ぬまでを2時間半見せられてる感覚というか、オリジンとしてとても大事なことだけどもっとエンターテインメントとして忘れない方がいい物あるよね??という気持ちだった。
巴が剣心の中でどれだけ大きい存在かはよーく分かるのでそこはすごく好きだったし、佐藤健と有村架純のもつパワーで静かな画面も漲っていた。10年前は佐藤健が剣心に寄せていってたけど今作ではもう佐藤健が剣心そのもの。いつもよりトーンの低めのダークな芝居がハマりまくってて気持ちええ。クール系の役を沢山やってきた佐藤健のキャリアが息づいてる。

めちゃくちゃ好きなのはオープニングアクション。対馬藩邸での剣心のブルータルな殺陣。縛られた状態から刀を奪い、縄を切り、無双して状況を脱出するという鮮やかなアクション。ゴジラが進化していくのを見ているというか手の付けられない化け物が覚醒する瞬間を目撃できてとてもよかった。実はオープニングアクションを剣心がやるのは1作目以来なのでそういう意味でも回帰感ある。感想書いてて思ったけどこれってミッションインポッシブルローグネイションのイーサンが上裸で捕まってるところのオマージュなのかなと思った。
桂役の高橋一生はみんな褒めるから置いとくとして片貝役の池内万作と飯塚役の大西信満の長州顔&内通者顔がめちゃくちゃ映えててめっけもんだった。まさかの新井赤空登場。サプライズで好き。
闇乃武がめちゃくちゃ頼りなかった…原作読んでる時の読み味に近いという意味ではこの映画全体すごく近い(重い、暗い、読んでてしんどい、戦いにカタルシスがない)。北村一輝は1人でボスと香川-滝藤-音尾ラインの喋り役をやっててかっこよかった。ただラスボスには相応しくない。
この映画作らなきゃならないリスクに対してリターンが少ないと思うのは僕だけだろうか。公開順はThe Final→The Beginningで大正解。一体剣心の過去に何が?というフックで追憶編にヒキがある。逆だったら多分両方ヒットしないと思う。ラストシーンで絶対鳥羽伏見の戦いやると思ったからそこは予想通りで気持ちよかった。その前に桂が志々雄の存在をほのめかすのもアメコミ映画ぽくてよかった。

忘れてはならない新撰組!!まず羽織の丈が長い!!!蜷川幸雄の舞台とかワダエミの衣装みたいでこのデザインに落ち着くまでだいぶ悶着あったろうなと思った(ラストの鳥羽伏見ではほぼ従来通りの羽織を着てる)。殺人剣客集団があんな邪魔になるもの作るか??と思ったが見栄えは法被や半纏と違うんだということがよく分かるので○。池田屋のシーン……近藤隊が少数で突っ込んで大乱戦になってから土方隊が「待たせたな」で登場すると『新選組!』脳は思うし、古高俊太郎を拷問する時五寸釘と土方でやってほしかった気持ちも正直ある。藤本隆広の近藤は原作の厚みとダブってとてもよかった。和田聰宏の土方はほぼいるだけでるろ剣ならまぁ仕方ないか。斎藤の牙突が5作通じていちばん綺麗に決まっていて安心した。なんといっても沖田〜〜〜〜!村上虹郎〜〜〜〜!いいぞ。瀬田宗次郎とは違う沖田総司が見られてハッピー。丁寧語総司解釈一致。しかも剣心が池田屋に走るって原作より大きくて楽しい改変。夢の対決を見せてくれてありがたい。決着どうすんだ?と思ったら喀血……いいね…。
日本最高の美術、照明、撮影チームが揃ってて雪化粧の白さの美しさ。そして燃え盛る家をバックに去る剣心 …流れるメインテーマ!!!爆萌でした。
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