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るろうに剣心 最終章 The Beginningのradioradio526のレビュー・感想・評価

3.8
「終わりの始まり、始まりの終わり」

「るろうに剣心 最終章 THE BEGINNING」鑑賞。

最終章2部作の後編は幕末動乱の京都が舞台。
これまでのシリーズはるろうに(流浪人)として逆刃刀を使う不殺の男だが、その男の過去を辿るのが今作…つまりるろうに以前の緋村抜刀斎の物語。

新時代の到来を夢見て感情を殺しながら人斬りを続ける抜刀斎。
それは幕府にとって脅威以外の何物でもなかった。
ふとしたきっかけで抜刀斎と縁をもった悲しげな女性、雪代巴。
それは人斬りの心にひと時の安らぎをもたらす人であり、抜刀斎にとって大切な人になりつつあった。
徐々に幕府と長州の競り合いは激しくなり、抜刀斎と巴は京のはずれの庵に身を隠すことになる。

緋村剣心と緋村抜刀斎は全くキャラクターが違う…別人だ。「おろ?」ととぼけて見せる剣心の柔らかさは抜刀斎には全く無い。
仲間も無く、剣技だけで生き抜こうとする抜刀斎には重苦しい雰囲気が漂う。
そんな抜刀斎に寄り添う巴…その恋愛劇はあまりにも悲しい結末を迎える。
後半の殺陣はまるで水墨画の中のような演出であり、過去に重い影を持つ流浪人が出来上がる過程として劇的に描かれている。
ストーリーとしてはこの作品の終わりが第1作のオープニングと繋がるのでまさにエピソード0だ。

今作は抜刀斎が幕末の世に登場するくだりもあるので、飛天御剣流の抜刀術が衆目に晒されるシーンがある。
時代劇の殺陣として漫画超えしているのがこのシリーズの居合(抜刀術)だと思う。
非常に低い姿勢からの神速の抜刀で敵を斬るアクションは殺陣でいうキメの体勢だが、それが美し過ぎる。漫画のイメージを損なうどころか、その斜め上の格好良さで原作ファン、映画ファンを黙らせてくれる。
いや…シリーズ全て堪能しました…素晴らしかった。
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