からかす

るろうに剣心 最終章 The Beginningのからかすのレビュー・感想・評価

3.0
日本の週刊連載漫画の実写化って本当に難しくて
無数のエピソードの連なりが強固なストーリーを成しており
映画の尺上全てを映像化はできないから
どのエピソードを選ぶかが非常に重要なポイント。
「るろうに剣心」実写化シリーズは
このエピソードの抽出・分解・再構成が本当に上手くて
加えてキャスティングのハマり方、
現代邦画におけるトップクラスのアクションシーンの撮り方で
週刊連載漫画の実写映画としてはやっぱりトップだと思う。

その上で本作も決して悪い出来ではないと思う。
ただラブストーリーを中心に据えた
原作の中でも異質なエピソードであるため
これまでの「るろうに剣心」シリーズとはトーンがかなり異なる。
暗く爽快感に乏しく、何よりテンポが悪い。
演出上の問題か全員たっぷり間を取った芝居をするものだから
とにかく物語の進み方が鈍重。
原作ではこのエピソードの次に「The Final」にあたる人誅編なので
一定の解決感が出るんだけど
やっぱり「The Beginning」にあたる追憶編を
シリーズの最後にもってきたのは失敗だと感じる。

さらに本作で絶対にしなきゃいけない
「The Final」における最大の敵、雪代縁のケアが不足している。
追憶編における肝は主人公緋村剣心の過去を描くと同時に
宿敵雪代縁が何故緋村に執着するのか、
シスコンがシスコンたる根拠を示す事であり
それがないと「The Final」でのシスコンっぷりがやっぱり浮いて見える。
このケアをしてももっとセリフをちゃきちゃき喋れば
120分以内には絶対に収まったはずで
いや勿体ないなあというのが正直な印象。
からかす

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