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るろうに剣心 最終章 The Beginningのfumingのレビュー・感想・評価

3.8
映画版るろうに剣心の最終作。本作は非常に人気の高いエピソードである「追憶編」を取り扱った内容である。またさらに、出来が良過ぎて観た後作者が暫く寝込んだとの逸話があるOVA版追憶編を元に制作されているためか、非常にまとまりが良く作劇の出来が良い。

追憶編は殺伐とした幕末時代の内容であり、桂小五郎や新撰組など歴史上の人気キャラクターも数多く登場するため、かなり純粋な時代劇となっている。これまでのシリーズを観たことが無い人でも、これ一本で何の問題もなく楽しんで観られる強度があるのでなかろうか。なんなら剣心はこの追憶編以外いらないという人もいるくらい。
映画ならではの注目点としては、巴というキャラクター。人気キャラ故に実写化は相当難航したと思うが、上手く演ぜられていたと思う。正直見た目は原作版にはあまり似ていないが、雰囲気はしっかりと出せており終始違和感を感じることは無かった。

るろうに最終章は前作と合わせてのいわゆる「二本立て」であるが、前作がとことんアクションとケレン味に振った「動」の内容ならば、こちらは歴史とドラマパートの充実にフォーカスした「静」の内容だと思う。また全体的に暖色な画作りの前作に対し、本作は寒色な対比も面白い。派手なチャンバラアクションはそのままに、本作では文字通りの生死を賭けた血しぶき飛び交うヒリヒリした雰囲気が魅力。また、月日の終わりが最初から分かっているが故の儚さと刹那的な美しさが叙情的である。
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