このレビューはネタバレを含みます
少女が中絶ができる病院を目指して旅をするというロードムービーである。
とりわけ印象的だったのは、友人(イトコ)との関わり方である。友人はさまざまな場面で寄り添う。
オータムが病院でカウンセラーと話す時、彼女はカウンセリングとしての質問を立て続けに受ける。それは彼女が自分の過去と向き合う行為であり、彼女は涙を流す。質問を受ける際カメラは彼女を長回しで捉え続けカットされることがなく、質問者がカメラで捉えられることもない。この場面も明らかに重要ではある。
一方、それと対比されるシーンがある。中絶後に喫茶店の様な場所で、中絶の経験とその感想を友人に質問される。これもまた複数の質問が立て続けに行われていたが、その際はオータムと友人は切り返しショットで捉えられており、彼女達の相互的なやりとりが観客に丁寧に提示されていた様に思われる。
ラストカットでオータムがバスに揺られ、友人に身を任せていたように、映画全体を通して旅路に身を任せることができたのは、側に友人がいたからという事は間違いない。