望まぬ妊娠をしてしまった17歳の少女が、従姉と一緒に中絶の旅に出る話。
リアリティがあって良かった。ドラマチックさを排除し、少女の心の機微を繊細に描いている。
妊娠はただでさえ心身ともに多大な負荷がかかることなのに、それを未成年の主人公がたった一人で、しかも望まない妊娠という状況で背負っていると思うと、妊娠経験者的には涙なしにはみられなかった。
私も現在妊婦なのだが、当初は予期せぬ妊娠に戸惑い、受け入れられなかったので、余計に主人公へ感情移入してしまった。
特に、初めてエコーを見せられた時の顔とかは当時の自分みたいに感じられた。
(私の場合、主人公と違って大分状況は良いけれど)
キリスト教文化圏での中絶というところに、さらなる複雑さがある。
宗教的背景から、アメリカでは法律で中絶の権利が制限されていたり、中絶そのものが禁止されている州もある。中絶は政治的に大きな論点の一つである。
そのような風土の中で、妊婦が中絶を選ぶハードルは日本以上に高い。
住んでいる州で中絶手術が受けられないとなると、州を跨がなくてはならないが、それは貧困層には難しいことであり、実質的には産むか非合法的な手術を受けるかの選択肢しかなくなる。
妊婦の中には性被害の結果妊婦となってしまった女性もいるわけで、そのような人に「胎児の生命優先」を押し付ける構造はあまりに酷だと感じた。
主人公が初めに行ったクリニック(ボランティア運営の相談所?)がカスすぎて許せん!
診断もデタラメだし、中絶反対のプロパガンダビデオを見せてくるのも有り得ん。