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17歳の瞳に映る世界のyuzameのレビュー・感想・評価

17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)
3.0
ただただ、妊娠中絶の話だった。

他の作品では、ドラマを構成する
1エピソードに過ぎないかもしれないが、
当事者にとったら、
人生レベルで大きな大きな
問題というべきか、困難というべきか。

知っているようで、
実は殆ど知らなかった
具体的に、当事者がどんな体験をするか
それをつぶさに、
どこも端折らずに見せてくれた。

ペンシルバニアの産婦人科の
ビックリするレベル。
ドラッグストアと同じ検査薬。
エコー検査の誤診。洗脳ビデオ。
何故男性が断罪するような口調で
中絶を語るのか?
その厚かましさに恐怖と絶望を感じる。

彼女達の日常を淡々と映しているけど
日常的になんなんだよっ!て言う事が
毎日起こる。
発表会で、ちょっと尖った歌を歌えばヤジられ
継父に、お母さんに言われたから
嫌々だけど褒めると言われ
スーパーの客にはナンパされ、
上司には手を舐められ(これは犯罪だよ)
継父は娘達の前でワザと卑猥な発言する

オータムは問題解決能力が低い。
考えが甘い。
自分の思ってる事を言葉にできない。
自分でもよく分かってない。
でも17歳なんてあんなもんだよと思う。

あんなもんなんだけど
他人のことなら分かるってとき
あると思う。
スカイラーがいて良かった。
スカイラーも、自分があの立場だったら
あんなに上手く
立ち回れなかった様に思う。
大事なオータムの為だったから
出来た事だと思うが、本当に偉かった。
偽善じゃなかった。そこは本当に凄い。
あんな子いるか?あんな人格者。

NYの中絶に寛容な産婦人科の前に
キリスト教原理主義者のデモ。

カウンセラーの質問がこの映画のタイトル
Never Rarely Sometimes Always
一度も無い 稀にある 時々ある いつも

性交渉に関しての質問。
避妊の拒否、強制、暴力、
そう言うものについて聞かれる
オータムは答えられない。
が、深追いはされない。
良いのよって言ってくれる。
それはさすが。
自尊心が傷ついただろうなぁ。
なぜあの時言えなかったって。
なぜ断れなかったって。
言えないよ‼︎
そんなに簡単な事じゃ無いんだよ!
誰に彼女を責める権利があるよ!
お母さんだけだな。言っていいのは。
ずーっと彼女の顔のクローズアップ。
固唾を飲んで見入ってしまった。

帰りのバス賃の為に、
女を武器にして金を調達する。
これも切なかった。

最後にやっと
2人の間に冗談を交えた会話。
ここでやっと
普段のオータムが垣間見える。
きっと皮肉屋で、
ブラックジョークが好きな
面白い女の子なんだろうな。
(だから弱いんだろうな)
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